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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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スパイスプリンケーキ しょうひアイテム かいふくりょう150

 街に並び祝福する人々。

 あがる喝采。

 舞い散る紙吹雪。

 飛び交う生活道具。

 この街が動き出して、最も活気づいたことは間違いない。


「三番、注文入りましたわー!!」

「ご注文のトリコロールベリーアイスセット、お待たせいたしました!」

「こっち、スパイスプリンケーキ五つ、持ち帰りお願いします!」

「もう!皆さんが通りに集まっていると聞きましたのに、何でここがこんなに忙しいんですの!?」

「バイト!働いて!」


 各所、さまざまに活気づいて、祭りを開始している。

 盛り上がりも、まさに最高潮。

 皇女を称える声、国を称える声、街の発展をなぜか自慢する声。

 持っている想いも様々。

 そんななか。

 僕は、何を見せられているのだろう。

 

「この!いやしく発情したけだもの!恥を知りなさい!」

「すみません!すみません皇女!もうちょっと!もうちょっと強くしても私は平気です!もっとください!」

「これで喜んでいるのですか!はしたない!はしたない!」


 …本当に、心から、何を見せられているのだろうか。

 一応、説明しよう。

 皇女来訪と大通りの馬車の列の出迎え。

 実質パレードのそれに、何が危害を加えてくるかで、周辺警備を僕も含め兵士たちは過剰なほどにやっていた。

 通りの外れで、洗脳薬を使った集会があって騒いでいる、テロがあるかもしれないという通報があったが、僕が駆けつけたときには、その痕跡も人も消えていた。

 暗殺計画の噂もなくはなかったので、僕も必死だ。

 そこから、徒歩でそれぞれ軍内の視察と城壁の集会所などを訪れていたわりの言葉を贈るといったスケジュールが、最初の日の皇女の予定。

 その時点で、アイーダさんから、馬車から降りる時点で影武者が公務を行い、皇女は別の馬車で滞在予定の屋敷にこもるのだと聞かされていた。

 そこの警備として、僕も少し隠れて来てほしいと呼ばれたのは、そこまでは、とても納得できる。

 そういった理由でやってきた、誰も近寄れないように周囲の警備だけを厳重にした、迎賓用の屋敷。

 皇女の顔くらいはしっている、そういうレベルではあったが…。

 ボンテージを着たアイーダさんの手足を縛って、それを踏んで扇子らしいもので叩いている半裸の女性を、何と美しいとすぐに褒められる精神構造を、僕はしていない。

 ドン引きですよ?

 

「どうも、初めましてリューオさん」

「はい…その、はじめまして」

「少し待っていてくださいね、このはしたない最低の恥知らずに、せめてもの罰を与えてから、ゆったりお話をいたしましょう?」

「…あ、それは必要なことなんですね…」


 涼しい顔でまたアイーダさんを踏みなおす彼女に、表情すら忘れて成り行きを見守る。


「男の体臭を胸いっぱい吸って興奮したり、裸に触れるために好みのルートで散策する計画を立てたり息を荒くして髪の毛食べたり!私の近衛としてやることですか!破廉恥な!しかも見ているのをわかっていてなんて羨ましい!」

「申し訳ありません!でもすべてリューオ様の前で言うのはひどいです!興奮してしまいます!」

「本当にあなたは最低です!」


 逃げたい。

 二人が楽しむための装置、みたいに僕、置いて使う用途で呼ばれてない?

 あと、初めて聞くけどそれは事実なんでしょうか。

 さらに加えて、同じ穴のムジナ的に、性癖を共有しておられるような口ぶりですが、それ、僕としては危うい妄執的なあれですよね?

 隠して何とか対処していくという選択肢、どうしてしてくれなかったんですかね。

 つまり、逃げたい。


「この女を軽蔑しまして?リューオさん」

「あ、僕は聞いてないことは忘れられる性質ですので大丈夫です。アイーダさんは良い方ですよ、たぶんこれからも…」

「まぁ、よかったですねアイーダ…羨ましいこと!」

「ああ!嬉しいです!身も心もこんなに幸せで、私、いいんでしょうか…ああ、もっとお願いいたします!」


 …だめだ。

 何もかもが通じていない世界だ。

 一つの場所で、誰かにとって天国で誰かにとって地獄という構図的なものって、思ったより簡単に作れるものなんだなって。

 時間という感覚で理解できないくらい、ずっと見せられ、フォロー脳死台詞を重ね、思い出を今だけはと自分の意識に封印され。

 二人が楽しむだけの時間は、なんとか、僕の意識のあるうちに終わった。

 今日を乗り切ったら、俺、外の警備に回してもらって大好きな人に告白するんだ…。

 そんな感じの悲壮な心境を口には出さず、しまっておいて。


「改めて、こうして間近にお会いできるのは初めてですね、リューオさん」


 軽く部屋着だろうドレスを羽織って、テラスで優雅に座って話す皇女。

 テーブルを挟み、普通に座る許可をもらっているのは、かなり、実のところあり得るべきではない状況。

 この世界の階級差と、それに倣ったマナーからすれば。

 アイーダさんも素晴らしい速さで着替え終わり、お茶を並べて同席していた。


「とはいえ、コウからすると、いつもと思うほど普通に思えることは、しってますね」

「…それはもう」


 今まで、僕から見ると王都の式典などで遠くの姿を見た程度のことしかない。

 だが、逆はちょっと違う。

 アイーダさんが、もともと近衛として皇女の近しい存在であったことから、アイーダさんは皇女から、魔法の球を一つ貰い身に着ける間柄になっている。

 どれほど遠くても、その水晶に映ったものを遠くのアイテムに映すことができる高級な魔法のアイテム。

 それはイヤリングとしてほぼ常に周囲を遠隔で注視されるものと化していて、アイーダさんの周囲は、皇女の視界とも言えた。

 これにより、遠くにある問題も、不正も、見つけたと同時に王都に伝わるし、アイーダさんも皇女により色々な手段で手厚く守られる。

 そういった、非常に強い関係なのだ。

 この強大な情報収集力だが、最近はそれを遺憾なくは発揮していない。

 この街につきっきりになっていることが原因なのは確か。

 しかも、理由の一つは僕であるのは、普通にアイーダさんから知らされているのである。

 この二人に、ずっと前から僕は頭を上げられないくらいには世話になっているのも間違いない。

 そして、このアイテムの存在を知っているのは、そもそも遠距離通信の構築に関わった一部と、ここに居る三人のみのはず。

 顔こそ合わせていないが、相当僕も、ずっと皇女と深めに関わっていることになる。

 そして、アイーダさんと会っているその距離も、ずっと皇女と一緒である距離として「皇女からは」見えていたことにもなる。

 あちらから僕に、ずいぶん前から気兼ねない距離感とされているとしても、それはそれであり得るのかもしれない。

 無論、こっちは、話したこともないのでぎこちないのが普通。

 …あんなのをいきなり見せつけられることにも納得できる感情はない。

 言わんが。


「このアイーダから見て、知っていることはコウももちろん知っていて、食事もお世話も、ずっとコウからは、一緒だったようなもの…」

「き、恐縮です」


 ストーキングみたいなこと言ってるな、などと言うべきではない。

 いきなりあって、あっちからはだいぶ色々知っていると言われるの、怖くないですかね。


「アイーダが好きなことはコウも好きで不思議ではないし、リューオさんがアイーダを好きなら、コウもそうであってほしいと思っても、不思議ではない…のは、リューオさんから見て、変?」

「…他人の持つ感情そのものに、僕から違うだの、必要かどうかだの言うのは…それは、あるべきじゃない押し付けかなと…僕なら思いますか…ねぇ」


 言葉は選ぶ。


「つまり?」

「まぁ、お気持ちがプラスであれマイナスであれ、否定ではなくそれを理解して僕は最適な存在であろうかなと…」

「ずるい方…」


 お茶を口に運びながら、少し睨む目で笑う皇女。

 気を引き締めるべき空気なのだろうか。


「では…はい、あーん」

「へ?」


 クッキーだろうモノを持ち、口元に運んでくる皇女に、思考が止められた。


「あーん!」

「ド…あ、はい」

「最適というのとは、いささか違うご様子でらっしゃいますこと」


 ただのテストだと思いつつ、ほほえむ皇女は、屈託ない笑顔で少し微笑ましい。


「コウの愛を受け止めるには、リューオさんはまだ修行が必要、ということで」

「さようですね」

「どちらかというと、お二人のほうが、愛が深いのではくらいに…」

「まぁ、皇女と私が二人はずっと一緒なのは、ある意味変わらないでしょうかね」


 アイーダさんも何気なく、自然に笑っている。

 配下がどうのではなく、信頼関係が成立しているというのは、いいことだ。


「でも、最終的には、コウはリューオさんを選ぶのかも、しれません…」

「へ!?」


 今度は何の冗談だ。


「程なく私が殺されるのを救っていただくのなら、共に逃げていただくのも、考えていただきたく思っています、コウはね」

「皇女、そのお話は…さすがに皇女の考えすぎです」


 なんだ?


「私は、コウは…皇女ではありませんと言ったら、信じますか?」

「えっと…その、公務の入れ替わりをしている似た顔の代理の人が…こちらという意味…ですか?」

「違います、私は王家の血など継いでおらず、適当にその辺にいた女を立たせているだけという意味です」


 何を言い出すのか。

 突拍子もない言葉に、声すら出せずにいた。


「まぁ、これも皇女の悪戯と思って、リューオ様…」

「アイーダ、来ると言ったときから、この話はするとも言ったはずです」

「…しかし…すべてにおいて役割を完ぺきにこなし、継承の儀すら既にこなされた皇女が、なぜ内から疎まれる理由があるというのですか」

「剣、です」

「…しかし、それも…」


 それだけは言ってほしくない、忘れて欲しい、とでも言いたげなアイーダさんを制止して、皇女が話し続ける。

 僕としても、皇女がその立場から降りるような理由があるなどとは一切思わない。

 各地の問題は早急に取り上げ解決の使者を飛ばし、地場産業や辺境の悪天候による災害なども、あっという間に報告をあげて最適な解法を必ず提示できる賢者。

 一般的な皇女の評価は、完全にこれである。

 僕もそれは疑わない。


「コウにどんな力があっても、始祖の王が授かった王の剣にはすべてひれ伏すしかありません。それを支持するか、持つものにこそ光が与えられるのです」

「私には、どうあっても、皇女こそがこの国にふさわしいとしか、答えられない…」

「僕もそうですよ?」

「お優しいですねふたりとも。でも、あれが既に解放されているとなると、言葉でなど解決できないのです…伝えられる話が真実なら、この世界を二度や三度壊すのもたやすいものですからね」

「その話自体も…僕にはさっぱりなので、必要なものなのかが…」

「そこからお話ししますか、リューオ様には…反対派の貴族も旧王権復権派も、誰もかれも今欲しがっている伝説の剣…」

「そんな話が動いて…?」


 王宮の内部などの話は僕が知るはずはないが、皇女を蹴落とす気がある存在がそれほどいるなど、信じられない。


「そして魔族の所持している可能性もあるとして今誰もが恐れている、命あるものに許された異界の最も罪深き力、ゲイズオブロードスのお話を」

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