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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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デミセミ アイテム L**

「あのお子さんを妊娠させてどうの、という、悪趣味な話は流石に付き合えないぞ?ということで、もうあんたと話す機会もないな」

「リューオさま、あのウノと同席でお伝えできるのはあの理由だけですが、我々の内輪などで、実はもうふたつ理由はありまして…ね」

「何でもかんでも言いくるめられるとしたら大間違いだぞ」

「…昏き聖櫃の、孤高なる龍に関わりのある話であると言ったなら、お時間を少し…頂けますでしょうかね?リューオ様」

「その名前の何を知ってるかには、よるなぁ」


 村の出発前。

 街へ行くメンバー選出の結果を見た、あの日のこと。

 部屋に置きっぱなしの水晶玉の処理を少し困っていた、一時間程度。

 その言葉に、内心では心臓が急に膨れ上がった感覚になったのを、覚えている。


「わたくしめはですな、リューオさまの、立場としては姉に当たる方を知っているのですよ。破天荒で愛すべきお方でした」

「…いないね、そんなのは。見たこともない」

「数百年前のことです、それは知らないというのが正しいと思いますなぁ…ですから、その時から、いつかその血を受け継ぐ方にすべてを託したいと考える日も、ありました」

「…存在しないという話に、ずいぶん押し付けた話を重ねてくるじゃないか…」


 焦りなのか、怒りなのか、息が荒くなる自分を、今は大人げなく思う。


「今回、リューオ様の立場を見て、わたくしめは何としても、あなたの子を存分に、与えられるものを与えて成長を見たい、それを考えておりました」

「それは聞いたが、思い入れでやるなら、そっちの、知っている姉という人でやってくれ、たのむ」

「遠い話です…さすがにもう、おられませんよ…ミカルナとともに世界の壁でも超えているのでしょうか、それとも…」

「…ずっと、そんな思い込みの感傷で喧嘩売ろうっていうなら、怒って…いいかな、僕も」

「このなりで言うのもなんですが、初恋の話ですから、わたくしめも少しはこだわりはあろうというものです」

「長くなりそう?」

「長くすることはできますな。ここにかつてあった、一つの学校の話…あれが、我々がここに居座るように住み着いた原点でもありますし…聞きますか?」

「歴史は知っているからそんなにはいらないな…」

「…ではそれは抜きに、もう少しだけ時間が必要な理由のほう、詳しくお話いたしましょうか…」


 思えば、無駄に見えるあの前置きに、少し感情移入させられる形に誘導された気がする。

 思いとどまったほうがいいのかな…今更思うが、やることはやろうという形にしっかり仕込みを作成。

 警備の一端という言い訳で、街を改めて巡回。

 壊していいところ、時間帯によって人気のなさそうなところなどの心当たりを、ちょいちょい見て回る。


「勇者様!」

「こんなところにまでお越しいただいてありがとうございます!ここは確実に、怪しいものは立ち入らせません!」


 皇女を迎える警備の人も、そういえば大増員なんだったなぁ。

 それらしく動き出してから年単位の月日もたっていないこの街で、大規模に一体となって動き出す祭は、これが間違いなく初めて。

 気合も、そりゃあ違うだろう。

 やるとしても、皇女が帰ってからになるのは確定かな。

 帰ったすぐあとは、気疲れもきて兵隊が動き回る数も減るだろう。

 そう考えると、むしろ皇女来訪は、タイミングよかったとも言えるのかもしれない。

 そんな昼下がり。


「でもさ~街だからって楽しいことがたくさんあると思ったら、みんな労働労働でつまんなさそうじゃね~の?」

「うわ!?」


 一人でうろついてたその最中、真後ろからの聞き覚えのある声に、背筋が震えた。

 声の判別については、見るまでもない、「アレ」だ。


「おまえ、ついてきてたのか?全く見た記憶なかったぞ、馬車も移動中も…」

「迷子になりかけてたタマを案内しながら、ボクちゃんといたよ?」


 見た記憶、全くない。本当にない。

 タマの案内というと、遺跡のあたりの途中参加ってことだな?


「あの、魔王って言われてたのの近くさぁ、気持ち悪くならない?あいつの周りについてる妨害の呪力みたいなのさ~僕にもバリバリ悪影響出るんだけど何とかしてほしいんだよねぇ~」

「ああ、あの子の見える範囲にはいることがないから、自然と輪の外だったのかお前…」

「腹減ったんだが~」

「とりあえず、今日のアイーダさんのいる場所でも出てこなくてよかったなぁ、お前…」


 なんとか必死に理由をつけ、一人で行動している理由…それは当然彼女だ。

 女の匂いがする。

 許せない、殺すかもしれない。

 こんな匂わせがあって、女しかいない村からいっぱい連れてきました、一緒にみんなでお風呂も入ったりしましたに数日ずっと一緒でした。

 あと、ぜひとも妊娠させてほしいと言われておススメされてる子がいます。

 …なんて伝えたら、これは挑発というよりブチギレのGOサイン以外に何があるというのだろう。

 とりあえず、急な転移の前に使っていた借宿はそのままだろう。

 僕はそのまま夜になってもゆったり休めるはず。

 が、村の子たちは、そういったかたちじゃない。

 これがなくても、全員同じ部屋とはいかなかったのは当然だが、全員安全に過ごせる宿は絶対いる。

 しかも、軍の関りであるアイーダさんに伝わらないところ。

 最低でも人数分の休める部屋があって、実質隠れるようにもできる…。

 いやあ、条件難しいなあ!

 それに加えて、こうなると、魔王の子とこいつも一緒にはできないのだろう。

 こいつ用の部屋を隔離も兼ねて用意しないと。

 あるだろうか?そんなところ。

 ま、困ったら、とりあえずは住んでいるマリカさんに頼るほうが早いな。


「とりま~、食べ物くれないなら勝手に遊ぶんだけど~」

「待て!普通の食い物でいいなら今すぐ叩き込むから、待て」


 ヤバさを感じるその言葉に、あわてて優先順位を変えた。

 こいつ、どうにも…というか、存在自体の異様さから見ても、他人に迷惑をかけることや危害を加えることに忌避感を持っていないとしか思えない。

 いざ近くにいるのがわかるなら、それをそらすか、抑制しないと、だめな気がする。

 適当なカフェなどに、まずは誘導。


「や~だ!パン食だけでおなか膨らますのや~だ」

「注文多いな!」

「スシくわせろ~ガチョウの丸焼きくわせろ~ワニくわせろ~」

(この世界にいる生物無くないか…)


 突っ込みたい気分を抑え、量が重要なのだろうと適当なおススメ看板の店に。


「い~じゃん!これめっちゃ増えるやん」


 入った店、その奇怪な料理。

 店の名物らしい巨大肉と鍋を頼んだが。

 水を吸って増え続ける、木の実をこねた練り物をぶち込んだ鍋に、一発目で食欲すら吸いつくされた気分。

 もはや恐怖すら感じる。

 山と名付けられたその料理。

 フタを持ち上げながら増殖する様は、食べ物と呼ぶのに相応しくない。

 「コレ」がやけに気に入って二つ目を注文した時、店の人がまず、正気か?という目をしたもの。

 そんなものなんで名物にしたの、君ら。

 全く手を付ける気にならなかったが、本当に気に入ったんだな…こいつ、本当に二つ食べた。

 ちなみに帰り、店の人に、少し心配された。

 本当にやめな?これずっとメニューに置いとくの。


「街って最高~!内容わからなかったけど泣いちゃいました~!」

「誰にも通じねえから!それ!」

「ということで、また夜になぁ~」

「なんでやねん!」

「あの人のところにいったら、このディスク調べられて、もしかしたら間違って作動させられるかもしれないけど、その辺大丈夫~?」

「…大丈夫じゃない…」


 これと出会った当時のこと。

 魔力が異常な垂れ流し状態なので、それの漏れ出し口の一つだろう目をふさいだディスクのお話。

 いつの間にか持ち主の設定が変わっておかしな機能になった、ソッカータという名称のディスク。

 しばらく見ていない間に、眼帯のような紐付きの布で押さえる形に、ずいぶんコンパクトになっていた。

 これを取るのも危険だが、雰囲気で触ってあの大量破壊兵器っぽくなったのが、よりによってこの街で動いたらやばそう。

 こいつの存在自体も隠した方がいいのだから、そりゃあ確かに、見せる必要も連れていく必要もないんだよなぁ、そりゃなあ。


「じゃあ、入り口の門に置かせてもらっている馬車、あの場所わかるのかねお前は」

「そもそも、おまえの場所を感覚で見つけられるから迷わないとおもうんだなぁ~」

「そういうことな…」

「ほじゃぁ、いないないばばば~!」


 何の合言葉かわからない何かを言って、消えていく「あれ」。

 こっちも、それはついていけないよ。

 そんな気分を残し、マリカさんの店。

 …の、まえに。

 正直、宿を探そうとする前に確認すべきだったのが当然だが、彼女たちがずっと待ちぼうけ状態になっていないかは、確認すべきだ。

 なんとなく、気まずさもあったりしたのもある。

 街に入る手続きの時点でビンタがあったり…。

 それで、門番が勇者に無礼をどうこうと反応するのに、当然のように数人が殴りかかろうとするのを止めようとして、ちょっと空気悪くなったりしたので。

 それに加えて、万一にもアイーダさんかその部下がストーキング状態になっていないか、確認もする必要があった。

 途中の「あれ」が出てきても女と連れ立っているぞあいつ、という間接的な反応が起きていないようなので、まあ大丈夫だと思うが。


「…誰もいない…」


 そっちも予想しないわけではなかったが、置いて行かれた気分で、少し寂しい。

 もちろん、そのころには彼女たちがアルバイトに精を出しているなどという話は、この時点の僕は知るはずもない。

 そこから、数十分くらい待ったあたりで。

 布にくるまって魔王が馬車の中で寝ているのを発見。

 このまま寝かせて待つか、起こして他の子の行き先を聞くかで迷ったが…。

 さほど遠くもないので、魔王だけマリカさんのお店に運んでおくことにした。

 放置されていたのも謎だが、風邪ひかれたら、お付きの人に僕が何されることか。


「おやおや、いつの間にお子さん生まれましたん?」

「五日くらいで結婚と子育てでこの大きさの子がいたら世界どうなるんですか…」

「そういう時は、お前の子じゃい!くらい言うぐらいの機転、そろそろあんたにも欲しいなぁ」

「…無理ですかね…」


 ディスクの同調に使うデータ取りも、来た子は順次とるという話だったので、それも兼ねて預ける。

 そうしながら、馬車とお店を数回行き来し、みんなやっとそろったあたり。


「…あんたら、どうも、ウチとこの測定器で規格外な子…多すぎんか」

「はて」


 言われる方も、そりゃ身に覚えはないだろう。

 僕には、無いこともないが…。

 老人の言っていた、みんな魔王になれる程度の予備軍または候補生、という話の裏付けだったらどうしよう、ということである。


「まず、そのちっこい子…なにも意識と同調できるような波長取れんし、そっちのノンビリした子は触ったら装置落ちかけたし、そこの派手な子にいたってはなにやっても反応ゼロしか返ってこないって、洒落ならんのよ本当は…」


 魔王、ステラ、そして、自称リーダーを掲げるお嬢様のことだ。


「わたくしは、まぁ、心当たりがないこともないですし、別に問題はありませんのでお気になさらず」

「あれ?そういう話ですっけ?」

「ちがいますの?」


 体に何か異常がないか、そういう話をされているものと思っていたが…。


「私は特にそういったデータなどはいらずに扱えますので、私が使っていたのと、あとは…この、魔族で所持してパワー切れっぽいこの数枚、お約束通りにお受け取りください」

「…それが一番わからんのやけどね…」


 魔族だからどうの、というのとは違う、マリカさんの理解できない何かを持っているらしい、魔王のお付きの方。

 そこを調べれば、こういった調査も凄い楽なのだろうが…そう何でも言うはずもない。


「ま、ちょいちょい、出来る子から使えるの見繕って、ディスクの同期はしとくわ。何度か様子見にきてな」

「ありがとうございます、マリカさん…それと…」

「言いたいことはわかる、ちゃんとしとるよ」


 建物一棟丸ごとのモーテルのようなものを用意してくれていたマリカさん。

 部屋をいくつか借りる費用などを考えていたが、なるほど、助かる。

 そうして、馬車を移動し、欲しい最低限のものは買いそろえ、ベッドの数を確認し、人数再確認。

 僕としては、皇女の来訪がある期間中、アイーダさんの手前なるべくここに来ることはないようにして、「あれ」の部屋だけは独自に確保し、街の警備のふりをしながらマリカさんの店に何度か立ち寄る。

 そう言った流れも確認。


「なんなら、リューオもこちらで寝泊まりするのなら、誰か添い寝でも出来ますのに」

「いや、そういうのは今は…」


 悪戯っぽくいうお嬢様に、それとなく悪い何かを企んでいそうな悪い予感を感たりも。

 まぁ、彼女たちも彼女たちで、退屈せずに何かしらやることを見つけられそうなので、こちらの事情もそこそこにして向こうのことも細かくは色々聞かない。

 …会う機会を減らす気があるのに生活費としてお金を渡すのを忘れていたのは、まぁ、些細なことだろう。

 この旅が終わったとき、という、あの後ろ向きな考えを思い出せば、もう少しこの空気で話もしたかったが、そのうちにしよう。


 そして。

 皇女来訪の、お祭り騒ぎ当日となった。

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