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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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フミ=シツエボシ パティシエ L50

「まーまー、すごいと言えばすごいけど」

「…賑やかさと、知らない人とたくさんすれ違うことに、すこし…ドドキしますね」

「あまり、キョロキョロと挙動不審にしないでくださいませね皆さま!少し恥ずかしくなったら、距離を置かせていただきますわよ!」


 その大声が一番人目を集めている。

 そんなお嬢様と、ムカ、ステラ等をひっくるめた、リューオ以外の一行。

 基本的に、彼女たちの用事はマリカの店に行く以外の予定があまりないのだが。


「日暮れまでに、あの門に置きっぱなしの馬車に戻れば問題ないでしょう。リューオが勝手にどこかに行くのが悪いのですし」


 そんな一言で、手軽に観光としゃれこんでいた。

 あと、当然マリカの店の位置など、彼女たちにはわからない。

 はじめてくる場所なので。


「街とは、なんともやかましいとこですねー」

「みんな何か言追いかけられているようで、見ているだけで疲れてくるようなのじゃ」

「あるじさまは、どこかでゆったりとデザートでも食べながら、お休みになられてよいと思います…たくさんありますよ、たぶん食べ物も」

「あまいもの!ある!?ウノ!」

「はい、それはきっと、たくさん!」


 絶え間ない周囲の音が苦手な環境なのか、早くもグロッキー気味なタマ。

 その真横で、テンション急上昇の、魔族のお二人。

 魔王については、大きな帽子で角を隠し、魔力も隠すだけならばほぼ自力で可能なので、今のところ問題はない。

 ただし、街で活動となると、お付きの人が鎧だと目立つと軽装備なので…。

 ノーブラの大容量をぶるんぶるん振り回して一部の目につくことが容赦ない。

 つまりは、いろんな方向から、人を呼び込むような一行となっているわけで。


「…どこか行く…」

「待っときなさいマヨイ」

「…ムカ…離して」

「残念だけどね、こっちで通用するお金を持ってるの、実はあの二人だけなんだ…」

「…最悪…」


 逃げて、自分だけで街をさまようつもりでいたマッパーの方だったが、封じられる。

 村だと、広域で通じる貨幣を使う習慣がないという事実。

 金銭取引という概念まで知らないことはないが、通常使わない物体が自然に溜まるでもなし。

 まとまった滞在費というものは、リューオの手持ちと(たぶん)魔族が過去に強奪したのだろう金品に頼るほかない。

 一応、換金用という名目の貴金属はいくつかゴーカが所持しているが、買い叩かれて面白くもない目に合うのがわかっているので極力出さない。

 ので、リューオが後払いする形で、「領収書 上様(魔王)」として魔族のお金で飲み食いをする。

 

―一件目。

「これハチミツ!なるほどぉ、こう包むことで味わいが…むぐむぐ」

「ウノ!おいしい!」

「本当にようございましたねぇ」

「なかなか、腕のいい職人がおられますことで」

「…芳醇な味…」


 大通りの外れにあるオープンカフェ。

 皆様、名店らしいデザート類に大満足。

 

―二件目。

「この焦げた軽い苦みのアクセントと、お茶でバランスをとるんですねえ…これで香りを…」

「ウノ、これさっきのとこよりおいしく…」

「まぁまぁ、あるじさまお口に!クリィーム!が!」

「…ま、黙ってても立地で客が来る店の質は知れたものとは言いますが」

「…極端な味…」


 通りの中央の、行列を見て思わず入ったケーキ店。

 味わい方次第という楽しみ方と、ちょっと厳しい評価で一行、おなかを一度引き締める。


―三件目。

「ひたすら甘いものを食べていると、口の中がちょっと…麻痺してないか心配にもなりますね…このお芋は全然いけますが」

「…ウノ…もう…余、たべ…ら、れ…」

「大丈夫ですよぉあるじさま。ご無理するために連れてきたのではないのです、ほらお飲み物でございますわ」

「オーガニック志向しすぎと言いますか…腕の劣りや手抜きでないのはわかるのですが、味付けを絞りすぎと言いますか素材を信じすぎと言いますか…難しいところですわねぇこれは」

「…舌に優しい味…」


 ちょっと飾りが足りなそうで、新しい店舗なのに看板が古いという不思議な店舗の魅力で駆け込んだ甘味のお店。

 ゴーカが物足りなさを感じる以外には思ったより好評の、星多め評価。

 

―四件目。

「…出ません?ここ」

「うわぁーん!ウノぉ!余、もう食べられないー!!」

「わ、私に…私にすべて、お任せください…横になっていて大丈夫ですよー」

「庶民的という点では評価するべきなのでしょうね…我慢大会みたいな視点で、ですが…」

「…味以外で勝負は…」


 満足度最高という立て看板に釣られたスイーツレストラン。

 とにかく量。何はなくとも量。

 この順番で来たことそのものが失敗というほかない、この采配ミスに、半数が開始5分でグロッキー。

 時間で水を吸って増え続ける、どこかの鍋のような果実の練り物にはもはや恐怖すら感じる。

 体力多めな見た目をしているウノとタマが肩で息をするなか、ステラとマヨイが顔色替えずにひょいひょいと減らしていき、ペースは良くないが何とか完食。

 ゴーカ、ムカはソースを変えながら微量な援護をやり通した。


―五件目。

「「「いらっしゃいませぇ!!!!」」」


 満面の、笑顔。


(…どうなってるんですの…内容によっては明日の朝日が見られない体になっても知りませんわよ)


 ニコニコわらうゴーカ。

 血管浮いてる気がするのは気のせいか。


(…なんか、持ってきていた金貨が特殊すぎて、専門家がいないとレート換算できないとか難しいことになったらしくて…)


 急すぎて男物の制服にエプロンのムカ。

 かたまったような笑顔が、涙を誘う。


(…大丈夫って言ってたの、だれですのよ)


 堪忍袋の緒は全て解放されているのか、横の子の尻をつねっている、エプロンドレスのゴーカ。

 気合で笑顔だけはなんとかしているが…。


(お金がないと判断されていないだけ何も問題はないじゃないですか)


 ここに関してはもはや風俗。

 着れるものがなく私服にエプロンだが、そもそもの露出度などの関連から、実にいかがわしいウノ。


(これの問題がないって、喧嘩売っている以外何かあるんですの…何枚におろされたいか先に言ってごらんなさいな)


 笑いながらギリギリ歯の音がするような、限界の見えるその殺気。


(でも、これはこれで、意外と何とも)

(そうですそうです)


 そして楽しんでいるタマと、諦めているステラ。

 これは何なのか。

 改めて申しますと…。

 シメと決めて、軽く一口デザートをいくつかつまめるお店をと、ふらりと入店した一行だったのだが。

 詐欺ではないが、王室御用達と付いた、なかなかの高級店だったようで…。

 支払いでもたつき、金貨の査定をちゃんとできる人間が来るまでどうするかで、ゴーカに断りなく、ある程度働いて返すと快諾した裏切り者がいたようで。


(…鬼の所業…)


 どこから持ってきたか貸し出し用ドレスを着て、くすりと笑うマヨイ。

 誰が犯人かは、まぁ、内緒のままであったようだが。


「…フフ…もう切れちゃいましょうかしら…ゲイズ…オブ……」


 もはや、理性の限界近くになり、状況に耐えられなくなりつつあるゴーカを知ってか知らずか。


「お客様をさっさと案内して!臨時店員!」

「「はいぃ!」」


 号令のもと、一斉にお仕事に駆り出される面々。

 3日ほど、この少女店員たちは出ずっぱりの名物化し、素晴らしい売り上げを店にもたらしたとか、なんとか。


 そして。


「馬さん…余はみんなが怖くなったのだ…動けないのだ」


 魔王は、なんとか働く役割からは逃れ、リューオを待って事の説明をする担当として、馬車でのお留守番役となった。

 食べ過ぎで動けないまま、リューオが来た時には熟睡していたらしいが。

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