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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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サーティオーガ  じりつへいき L30

「寝ていてください!」

「こっちに付き合ってください!」

「ほら、これ食べるのよ!」

「…吉兆なのです」


 たまに聞く、痛みはないはずなのに脳が錯覚を起こしているというソレなのか、ちょっと痛いかもと言っただけで、割とパニックが起きてしまった。

 体は、おそらくだが今までにないくらいきっちり回復している…はず。

 だが。

 それはみんなにも理解されて、さらに、それを言ってしまったせいか。

 馬車の中に縛り付けるように寝かされ、動かないよう厳命を言い渡された。


「…なんだったら、寝にくいなら膝枕くらいしてもいいのよ、駄犬の匂いは嫌だけど」

「それなら、こっちが喜んでしてあげますよー!」

「…ずる!」


 タマにまともに絡んだの、そういえば初めてだな。

 あの地点から先に進むときに、双子はもう、街に武器類を持ち込まないよう帰るのを決めていたようで。

 村への運搬という名目で、ホクホクで帰っていった。

 入れ替わりの形で、どうしてか出てたタマが参入。

 思ったよりにぎやかになった。


「騒がないでくださいまし!あと、明日は絶対ほかに変わっていただきますからね!御者は!」

「…あ、近道の沼をかすめていくルート、もうすぐですゴーカさん」

「…絶対誰にもわからないと思いますので、お楽しみのところすみませんが、横で教えてくださいません?」

「…はい…」


 何年の単位で使っていないだろう謎の砂利道。

 どこまで使えるかわからない道。

 その連続をしっかり把握しているのも、謎というか、恐ろしいというか。

 当初一週間予定で、足止めになる一日があったにもかかわらずに既に直線距離なら半分。

 地図の力を思い知る。


「ウノ、ちゃんと、ちゃんと見ておったか?余はちゃんと、力が使える王になったぞ!」

「はい!こんなにお強いあるじさまにお仕えできまして、私も一族、子孫に誇ることのできる名誉であります」

「そうだな!そうだな!」


 こっちも、すごい幸福そうでほほえましい。

 同じことをもう何度聞いたかわからないが、お互いが幸福ならば、いいことである。

 代わりに、なんとも言えない、近寄りにくい空気している。

 部屋の移動とか…できないんで、そこだけ、早めに、何とかなると…いいな。


「油断の隙に、えーい、ですねー」

「おおぉ、食べた食べた」

「#”$u!?」


 硬いものに粘液を練りこんだような、異様に苦い、なんだこれ!?

 凄いせき込む。


「みず!…み、みず…!」

「あらあら、じゃあ、胸の谷間に落としたの飲むのと、口移し、どっちがいいと思う?」

「あー、タマもそういうの考えておけばよかったですねえ、いいのありますかねー」

「…あの、言ってる場合じゃないんで…」


 凄い味なんですよ、本当に。何ですかこれは。

 なんとか水筒を渡してもらって、一息に飲むが、むやみに吐き出せなくて胃がおかしくなっていないか心配である。


「それそのものは、タマの普段食べてる携帯食料なのでなんでもないものなんですけどねぇ」

「栄養付けさせようと思って、思いついたありもの全て入れたら、なんか、すごい色の粘液できちゃって…」


 薬屋の人、あれ…そういう、味見とかできない人ですか?

 そういえば、お嬢さんの人も、あの日に味見させられたジャムと呼ばれた毒の樹液みたいなの、ニコニコして出してきた…。

 料理で自慢をいろいろ言ってた、双子の方、いない…。

 魔王…料理、出来るわけないな…。

 おや?

 今日からもしかして、ヤバくないですか?

 ご飯の当番がじゃんけんか何かで決まる粗雑な形なら、絶対自分でしよう。

 絶対、ましだよ…。

 吐きそうな気持を誤魔化しに、後部から顔を出して一息。

 そこに、ステラがいた。

 ひとりで。


「あ、昨日は、ありがとう」

「…いえ…」


 すごい、さっぱりの一言。


「あの、私…なにか、変わったんでしょうか」

「何もわからないけど…何かあった?」

「あの、ポッドというのが光ったのも、実際、何であんなことをしたのかも、実感がないというか…自分が出来るはずがないと今も思えるような…」


 わからなくはない。

 僕が使えればいいやという雑調整で困らずいたが、違う人であんなに躓く罠のようになるなんて思ったこともなかった。

 それを、綺麗に解除してみんなを助けた人。

 最後の一手は、実に理想的な使い方だったようにも感じる。

 それをどうして。

 とはいえ、それで沈むというのは、いいこととも思わない。


「ほんとに助けられたよ。誰かの助けになることで変われるようになれるのなら、それは、きっと、だれにとっても幸せなんじゃないかな…ちょっと羨ましいとも思うよ」

「リューオさんの…役に立てましたか?」

「すごく」

「なら、それだけで、いいのかもしれません」


 いい笑顔だった。

 そこで。


「「「うわぁ!?」」」


 急な揺れ。

 馬車の急停止だった。


「どーしたのゴーカ」

「て、てきですか!?」

「いえ、マップの通りの道、見事になくなってまして…」


 僕も飛び出して、前を見る。

 沼のそばにあったろう石の列らしいものが、完全に飲まれている。

 何か迂回するにしろ、外れると沈みそうな、なかなか怖い場所にいた。


「反転も難しいですし、これ。いかがしましょうねぇ」

「あらあら」

「…なら…」


 僕は、ちらりと魔王と、その付き添いの人を見る。

 まぁ、特に、どうでもいいよという反応。

 なので、迷いなく馬車から少し離れてみる。


「キューブ28をアンロック」


 ぽん。

 そこに出てくる、大きな重そうな物体。


「ナニコレ」

「これ、お掃除の時に見なかったっけ?」

「あー、強そうですけど何ですかぁ」

「にゃぬ!!!てき!?」

「あ、大丈夫だからタマ」


 言っても飛びついて、吹っ飛ばされて沼に沈むタマ。

 足だけ出てなお沈んでいるが、いや、平気だろうな。

 取り出したものとは。

 老人から一つ渡された、あれのご自慢の武装。

 サーティオーガ、である。

 操縦が出来るから、誰かしら乗って試せるならお願いしたい。

 それと、一つ目的があるならそれで使い捨てていい。

 そういう話で、村の外にあるものを一つキューブにぶち込んでいたのだ。


「首のところから掴めるところがあって、そこからでも、中に入ってもいいんだっけ…」


 ひとまず外から触って命じると、かなり軽快に、この図体でガッツポーズをとった。

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