カイ=キレモノノイ めしつかい L55
なるべく急ぎたかったが、だれもかれも裸で寝転がっていて、どうしよう。
そんな不安もよそに。
なんとか、街へ行くという人たちは決定した。
ムカ=スグラウーワ くすりし
旅の途中の健康管理に必須であるとの判断。
マヨイ=ウチズハ マッパー
地図確認できる人員、方向感覚を持っている人員がそもそも一人しかいなかった。
ヒサ=キヘイッツ ぶきや
ハク=キヘイッツ たんけんか
村周辺の地形や遺物を把握できている数少ない人員。
なお、二人セットでないと動かない。
ステラ=ケナゲルト むらむすめ
確定枠。
なぜかしらないが、全会一致の決定。
イウナ=ヨルスラ うらないし
選抜戦勝者枠。
必要さで浮かび上がる人材ではないので、当人も不安。
ゴーカ=ミメタダケハ おじょうさま
全体のまとめ役に絶対いる(本人談)。
合計7人。
リューオ含めて8に、言っても言わなくても付いてくる可能性のある「あれ」とか。
多いな。
「やっぱり私も行きたいんだけど…いいでしょ、ね?」
「おかあさま、伏せ!」
「なぁんでぇー!」
「おかあさまが今やりたい放題で村を出たらどうなるか想像がつきます!」
「やぁだ!貰った宝石加工して身につける用の腕のいい職人さんがほーしーい!やーだ!!」
「おかあさまだけのじゃありません!しかもあれ出自がバレたらその場で打ち首じゃありませんの!」
何が入っていたんだ、老人が持ってきたお詫びの贈り物…。
「その辺は何とかしますから、ここの万一のために座っててくださいませ」
「ぶーぶー」
文句は言いたげだが、義理の娘(?)が行くことの邪魔などはしない。
なんだかんだ、お互いの理解度があると思える関係だとは思う。
「とりあえず、今回は私たちも同行させていただくことになります」
「まかせるのである」
「…えっ」
観光気分で魔王が!?
これから攻めてくる人たちの様子見に?
なんかふざけているのだろうか。
「じいが、いってこいと、後押ししていたのである」
「…あいつが言い出しとなると、ろくでもない考えが一つありますね…?」
――――――――――
「ウノ、わかっているとは思うが、これは、魔王の命がかかった重大な使命である」
「はい、わかっております」
「それを、今回失敗したことで、お前はその命を差し出さなくてはいけない罪を犯した、わかるな」
「し、死の覚悟は既に心に決めております」
「ではリューオ様がお話された、あの旅に、お前とオーマ様も、なんとか同行するのだ」
「あの、仕事は!?」
「今日中に片づけて、なんとしてもするのだ。挽回の機会を逃せば今度こそ我が手でお前を裁かねばならぬ、なんとしても、その間に魔王をご懐妊させるのだ」
「はっ!!」
――――――――――
当然、そんなやり取りは当人たち以外に漏れるはずはない。
迷惑かからないようにしてね、と、言うだけ言ってみるだけ。
この時点で最低10人。
なんでそんなに増えたのか。
言っても仕方ない。
リューオが言って増減したり、最大何人と言っていたわけではないのだから。
リューオも一応、まとめた死体を谷底に落として回収はその後に任せたり、魔物の仕事の手伝いなどをして、街の清掃は大まかに完了。
旅の準備はだいたい整った。
街に出入りする際に、リューオ以外の皆さんがすんなり入れるよう、一応は正規の、リューオが持っていた通行証もセットの上で馬車も用意。
近道をしっかり把握すれば一週間はかからないだろうという予測の元、食料などは二週間分。
留守の間は、先生とおかあさんがメインで残っていれば、何もないだろうという判断。
それともうひとり。
「行ってらっしゃいませゴーカ様。毎日お顔を合わせられませんこと、大変悲しゅうございますが…ぜひとも、ぜひとも無事のご帰還、お待ち申し上げております」
「毎度、口上が長いわ、カイ」
「申し訳ございません…ですが、わたくしめ、しばらく会えないという事実が受け止められず、悲しくて悲しくて…」
エプロンドレスの、いかにも召使という感のある、メイド姿の子が見送る。
先日の襲撃の際、村人をまとめるという役目をゴーカから任された割に何もできなかったからと、最初から残ると決めていた人らしい。
今度は、見えないところで頑張るのだという。
「じゃ、みなさま、人が減る間も仲良く助け合われますように!」
こうして、短期の旅行がスタートする。
この人数が全員調整に参加するかは知らないが、まぁ、やりたいことがあるなら、どんどんしてもらいたいというのがリューオの方針なので好きなだけ。
出来ればなるべく早く戻って、街の攻撃隊に愛想つかされないようにはしたいところだが。
「…そいえばですね、その、占い師の方は自己紹介ききましたが、こっちの眼鏡の方…見たことがないような?」
リューオが出発してからの疑問。
すると、馬車の揺れと、もじもじしたような態度で何とかリューオの目の前にたどり着き、彼女は耳元で一言。
「ふざけたこと言ってると次はその役に立たないアレ切り取るぞクソ駄犬がよ」
腹に押し当てるように、あの時持っていた小型銃を効果的に使うその態度と言葉。
本当は凄く人見知りで、ぶちぎれないと言葉もほぼだせない、マヨイさんでした。
それと、もうひとつ。
その襲撃で差し出された魔物の子ですが、今日も明日も村の掃除です。
面白いと思われましたら、評価や感想をいただけるととても嬉しいです




