ハク=キヘイッツ たんけんか L12
——遡って、前の日の夜。
「…きょうは、特に何もないはず…なんですが」
「ま、たしかに、何もない日だぁねぇ」
「なんにもない平和を満喫する日だわ」
後ろ手に縛られている。
なんなら胴体にも、主に首にそのヒモが固定されるようにつながって縛られている。
これ、あの、普通に手を緩めようとしたら首が締まる拷問の手並みなんですけど。
助かりますか?僕。
「ま、いい気味だと思いますね」
「世は、今日は何もしなくてよいのか?」
「はい、心地よくお休みいただくために、ウノもずっとお供いたします」
目の端に、昨日の二人もいる。
二人してすごい量の諸々の液体を放出してくれまして、ベッド使えないけどって言われましたよ、お嬢様の人に。
人間のあのレベルの冷めた目、なかなか見られないよ、ほんと。
で、その二人と別に二人の人がいて、たった今僕を縛り上げたわけだが、どうなっているのか。
「休むだなんだと言って、知らないところで、ずいぶん知らない女と遊び散らかしましたわねぇ」
「その声マネやめてください怖いんです、わりと冗談抜きで」
「そういうの洗うのは村の人だって一度も考えたことありませんでした?」
「いや本当にすいません…」
言っているのは、武器屋の背の小さい人。
いろいろ筒抜けになっていたり、あの人に大声で風呂に来いと呼び掛けたり、僕に敵意か殺意がないのか心配になる人上位の一人。
もう一人は…誰なのか、知らない。
「…とかいって、あの人が怒ってたのは、わかっているんよねぇ?」
「…ま、殴られますんで」
「そうだぁねぇ」
「そうよねぇ」
「…やっぱり、今の状況と何が関係あるのかが…」
「おおありなのだわ」
知らないほうの人が、語りだす。
「怒られた理由がわかっていないようなので、色々調べて、私たちが来たのだわ。なぜなら私たち二人は、街に行くのはもう内定しているからなのだわ」
「ああ、ちゃんとやってるんですね、そういう作業…」
「…ちゃんと選んで、夜にあてがった人なら仲間同士のやり取りと納得できていたのを……嘘つくのは、さすがにゴーカさんの我慢を超えたんだぁねぇ」
正直なとこ、言われてもピンとはこない。
許せるラインがあって、その範囲なら、その、行為があっても納得という考えに謎が多い。
嫉妬とか、そういうのとは違う何かなのだろうか。
「で、あたしら暇なんで、その復讐でもしようと思ってたんだけど、この子たちの話聞いていたら、この子たちも難問があるって話なんだぁねぇ」
「…と、いうより、お客さんのほうに警戒したり、驚いたりはしないんですね…」
めっちゃツノ生えた魔王とかいますよ、そこ。
「元から、たまにこの二人は村に遊びにきてたりしてましたのだわ」
「お風呂でももう、普通に馴染んでるんだぁねぇ」
威厳とか、強者オーラとかないんか、あんたら。
それに…結構村にずっと出入りしてたんだ…。
やっぱ、なにかにつけ、あの老人の話の裏付けがあるような、ないような。
魔王候補生たちがどうの、というのは、この子たち、どれくらい把握しているんだろう。
まるっきりウソの可能性も考える必要はまだあるし、それを含んだうえで踏み込んでは聞けない。
その前にだ。
そういえば、今、復讐って言った?
「この子らも大変だというし、ゴーカさんも大変な思いをしているというし、それに、わたしも、裏切者とか、ひどいことを言われてたようだぁねぇ」
ぎくり。
そういえば、勢いのようなノリツッコミのつもりで言ったような気は、しなくもない。
「わたしのほうはステラの応援も兼ねて積極的にいきたい形だけど、その辺もヒサとはだいたい同じ気持ちなのだわ」
ステラ…たぶん、たしかこの村のあの件で最初に来た子だと思うけど、たびたび話に出るようになっているのも、なぜなんだか。
そっちも、知らずに僕が悪いことをしていたのだろうか。
「そ、そういえば、そっちの人は腕、増やしたり減らしたりできるんですね…?」
「作業用マシンアームを本当に生えてると思ってた人は初めて見たんだぁね…」
「あ、なるほど」
なっとく。
「そういうことで、今日はこの、ヒサ、ハクの双子が協力して」
「みんなの怒りと悩みを解決すべく」
「「しぼりとって、あ、げ、る」」
そう言って、なんとも、艶めかしく二人が、息を合わせるように、時にお互いのボタンを。
時にそれぞれの衣服を取って、はがして、剥いていく。
下着の趣味が対照的だったり、なぜか触りあって、また目の前で何かが始まりそうになってたりもしたが、そこまで脱線せずにあちらの準備は完了した模様。
相手に悪意しかないとは言えないが、毎度ながら、僕はそんなに悪いことを、この村でし続けたのだろうか…。
「まずだぁねぇ、ムカちゃんがこの強壮剤と興奮剤混ぜたのを渡してくれたから、ここからだぁね」
「おふたりとも、アレなら準備は大切なのだわ」
「ほほぅ」
「世にもくれるのか?」
「言えばたぶん、使う分作ってくれるだぁね」
「脳を破壊する拷問でもしていなさる!?」
そういえば、序盤に何度か、盛られてるっぽい話されたなあ!
効いたような気は、するようなしないような。
…そういえば、あの時毒無効化のなんかを街でしてもらったの、いつまで効くんだろう…。
切れてたら、今回どうなるのだろう…。
「あ、服の上からはぬれないだぁね」
「だわ」
「じゃあ、今日は抜きで…」
言ったそばから、二人がかりでいきなり、僕の服を引きやぶる。
「な!?」
「まぁ、そんな日もあるのだわ…」
まず自分の体に、それっぽい、取り出した液体を塗る、双子。
手に引っ掛かるのか、その流れで下着もポイポイ脱ぎ捨てる。
昨日の大ボリュームとはちょっと違うが、やっぱり、そりゃ、至近距離でそういうの見れるのは、いいものだという気持ち。
「「やらしい目線!!」」
「そういう目的のこれじゃないんですか!?」
じっくり見てしまっていたら、頭を押されて、縛られたまま倒された。
言いつけによりベッドが使えないので、床のカーペットにシーツをさらにかぶせているだけなので、少し痛い。
少し、まだ見たい気持ちもあってもがくが、それ以上に、普通だったらこの衝撃で首しまって死にそうな恐怖があるはずだが…。
みんなほほえましそう。
いろいろ、本当に、大丈夫なのかな今日。
「「さて」」
「うわっ!?」
見えない。
見えないが、腕や、背中やに…その、感触が。
もしかして、その…。
倒れたボクに、裸で二人がかりで体を擦り付けて、なんて、夢のようなことを今、されてたりします?
みたい…何より、見たいなあ。
そして心地よい、その…。
「こうして、その気にさせて一気に堕としていくのが、いちばんだぁねぇ…」
「あ、あるじさまにこんなことをさせるのは、さすがに…?」
「…世には、するのはいいのか?」
「はい。それは務めです」
違うんじゃねえかな。
趣味と欲望でドロドロしてねえかな、その務め。
とか、言ってる間にも。
ぬるぬる、すべすべ。
なんというか、プロじゃないかという感じで、体をいよいよな感じに濡らされていく。
「あ、これも一緒にというの、忘れていたのだわ」
もはや身動きできない僕の前に取りだされた、瓶。
「情欲まみれになる、すごいやつらしいのだわ」
「気やすく取り出さないで頂きたい!」
とはいえ、目の前に出された時点でもうある程度吸ってしまっている。
結構いい香りでは、あった。
気持ちいいのと、いい香りで、ああ、これがその、昇天というやつなのかもしれない…。
そう、思ってしまった気もした。
「えっ」
「…ねてしまったのだわ…」
「この薬って…何か間違えたんじゃ」
「そんなことはないとおもうんだけどねぇ…だって」
「こっちも、ちょっとからだが…ちょっと…」
「こ、このにおい、世もちょっと変だと思うのだ…」
「あるじ…さ…ま…?」
翌朝。
僕が目覚めてみたものと言えば。
昨日にもましての、何か凄い匂いと、水たまりか雨漏りかよと疑う水っぽさ…。
「世…立てないのじゃ…」
「…最高ですぅ」
「ヒサ…」
「ハク…」
状況で言うと、この、ぐったりした裸の美女の群れというのは最高にドキドキするのではあるが…。
何回殴られることだろう。
そう思うと、特に合意したかも聞いてない子たちに手を出すのもなんだろう。
一呼吸して、我慢した。
全員腰がどうのと言って動けないようで、お掃除は、僕がやることになり。
それを超えたそのあとすぐ、あの塔のようなあれを見せられて…この村とは、魔王どうのと言わずとも魔境なのだと実感した。
「…南西に吉兆あり、ただし最果てに凶兆がみえるのであります…」
「いや、だから、だれなの…君」
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