イウナ=ヨルスラ うらないし L22
「さて、急遽皆様に集まっていただいたわけでございますが」
ゴーカが取りまとめて切り出す。
「街という別環境で色々見たい方、自分を試してみたい方、ここで足りないものがあると感じておられる方…」
集まったそれぞれ、あまり、これといったものを感じない顔。
「…そして、リューオが半月ちょっとは、ここから離れて、いなくなることに耐えられない方」
ざわっ。
ゴーカが呼び捨てにしたことに対してか、リューオの留守に関してか。
少し疑問が生まれるタイミングではあるが、ざわつきが生まれる。
「多すぎれば、別の選定も考えますが、今のところは、挙手即採用で」
即時、半数近くが挙手。
わかってはいた。
何より、遊びとイベントが村に足りないことは…。
その後もぽつぽつ増える挙手。
結構な想定外。
これでは村の大移動だ。
いや、しかしゴーカにはわかっている。
大半、行くかどうかと言われたら最後に辞退しそうということが。
ゴーカとしても、元からまともに活動していなかったとはいえ「あいつ」がいなくなったことで、みんなに前よりいい影響があるのは歓迎だ。
笑顔も確実に増えた。
どんどん明るさを盛り上げていってほしい、そう思うが…。
いざとなるとやはり、悪乗りが増える。
そのうちおちつくと思うが。
そういったことで、増えたのならば、減らす手段がいる。
その手段も、とりあえずは募集をしてみる。
結果。
・ノックアウト制ノールール60分一本勝負
・泥レス
・息止め(失神まで)
・バスターライフルよけ
・目隠し乳首あてゲーム
・熱湯我慢比べ
・剣闘士ごっこ
・三日間耐久大食いレース
・体感式ス〇〇〇ゥー〇
「…おおむね却下で」
「「「なんでー!?」」」
全体から抗議の声が大きく上がるが、とりあえず一度全部なしに。
どうしてみんな、急に命をかけたくなったのか。
ゴーカにはよくわからない。
「じゃあ、なにがいいっていうのですかぁ」
「この際、めいっぱい競うべきですよー」
「楽しいが一番ですよ!」
楽しいのあと葬式があってもいいのだろうか。
しかし、何の案もなければ、これで決まって巻き込まれるかもしれない。
いい誘導で、穏やかに行けないものか、と、ゴーカも瞬時に頭を巡らすが、なかなかに難しい。
何なら、それでいて、自分が確実に勝てるもの探しがあるので、難しい。
そう、ゴーカは、行く気満々なのである。
「それなら、私のほうで用意できそうねぇ」
「「「先生!!!」」」
助け船だ。
先生の一言で、ひとまず流血の事態は回避された。
そして取り出されたのが、何種類ものカードゲーム、リバーシ、積み木を崩すような、何か謎のゲーム、真っ白のジグソーパズルなど。
よく出したものだ。
むしろ、どこから、どういう伝手で持っていたのか、だれか探れと言いたいところでもあるが。
「ま…リバーシは昔この村でもなぜか流行りましたわよね、ルールはいいとして…」
カードゲームとか、いくつかの謎玩具。
あとは、あきらかに共同作業か一人用みたいなものはどう扱えばいいものか。
「そうねえ、じゃあ最初は参加者全員で、ひとり100pcsのこのパズルを組んで完成させた人が勝ち抜けでぇ」
「どうして人数分あるんですか!?」
「おぉ…滅びは…救われたのです…」
パズルだけで、いささか、みんなの心に乱れがあるように感じるが、些細な問題だろう。
思い思いの位置で、白いパズルが広げられ、組まれていく。
早くも混ざって数人が脱落確実になっているが、驚くべき速さで先生がなくなったところを拾って組んだりもしている。
…ズルでは?
して、しばらくの時間がたって、完成できないものが脱落となる予定だった気がするが、完成した上位の数人も完成したパズルに絵が描きたくなり次の競技に行くのを拒否。
妙な気配に誰かしらが気付く様子もなく、次へ。
次は、四人がひと固まりとなり、うち一人が抜けとなる神経衰弱。
始まって数分。
この絵柄が気に入ったと、負けでいいからこのカードだけ欲しいと言い出す参加者が出現。
参加賞としてトランプだろう何かを貰ってご機嫌で去っていく、趣旨が相変わらずわかっていない参加者の多さを見せつけた。
…ちなみに、自分も欲しいと何人も騒ぎだしたため先生がすぐに対処。
なぜかは不明。
順番に取るというルールが特に明言されていない不手際、取ったものは持ち帰れると勘違いして取った数のカウントでの提出を拒否する参加者など、無限のトラブルによって神経衰弱は勝者無しの結果となる。
次に行われたのはリバーシ。
いくつかの盤で、なぜか石が足りなくなる事件。
独自ルールで、裏レートで相手から石を借りる取引などが起きて複雑化。
自己申告以外で勝ち負けの判定が不可能な経済活動リバーシという概念が限定的に生まれる。
意見衝突により、勝者無しリバーシと結果を別口で議論する退場延長戦も発生。
知る形で勝敗が付いたのはゴーカとステラの対戦のみだったが、事情により結果は消去された。
退場者以外は、なぜか、全員勝ち抜けとなる。
そしてやってきた、バトルカードという闇のゲーム。
これだけは、まずかった。
初手ターン封殺が起きたことで勝ち負けに納得がいかないもの、ダメージを与えるというルールに対し、ビンタなど物理的ダメージが必要とされる何者かの入れ知恵の介入が、嵐を呼んだ。
この時点で、先生は退場済みだったという証言があるが、展開や状況を見るに、どう考えてもルール補足に走り回っていた人物がいたのは確実なので、いたはずである。
その後さらにカード人狼が生き残りで開催されたという噂もあるが…。
それを、のちに語るものは、いない。
なお、主人公であるリューオであるが。
ゴーカに次の日の朝には、行く人間は決まっているはずなので準備を絶対にしておけと、恒例のようにビンタの後に言われ…。
その翌日に、みんなの集まる家の扉を開けたとき。
千切れた服をまとっただけの、積み重なったような気絶中の半裸の女性たちの塔を発見し、ただ絶句した。
うかつに触れないので助けはすぐ呼んだ。
「…ですが滅びは回避されたのです…恐ろしき夜は過ぎたのです…」
「誰かな、君…」
部屋の端にいた無傷の一人の少女。
何にも参加した記録はないが、彼女が今回の唯一の勝者である。
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