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異世界転生主人公は、ラスダン近くの美少女だらけの村を勢い任せにハーレムにしてしまうかの岐路に常に立たされている  作者: くる


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マヌ=モケノケーナ アサシン L28

 目立つ、というのは、いい点も悪い点もある。

 利権など、お金に絡むものであれば、なおのこと。

 都合よく金づるにされた貴族の中で、もう我慢ならないと言い出すものも、実は、もういる。

 この城塞化した街を、あわよくば奪い取れればそれでいいと、リューオを暗殺しようとする刺客を差し向けて。

 そして送り込まれたのが、この若き暗殺者、マヌである。


「いらっしゃいまっせえ!」


 市井に紛れるため、資金を受け取る経路は存在せず、達成までは自分で生活資金を調達。

 命令に関してはたった一つを遂行するまで、ひたすら潜伏。

 それを徹底した結果。

 リューオがよくいく飲食店の、自慢の看板娘が誕生した。


「いつものスープと焼肉のセットね」

「私も同じものを、お願いいたします」

「はいまいっどお!」

(おのれ…今日こそ、殺すのです。)


 毒を盛る。

 これなら可能、という量を、資金を回してもらえないので何とか小遣いをためて買った分まとめて入れる。


「ごひいきにしていただいてますので、サービスでこの一夜漬けもどうぞ♡」

「おー、いいなぁ、こっちもくれよマヌちゃんー」

「もうもう、明日も来てくださいよ?」

(少々スープの色が変わったのを誤魔化すためにおまけをつけたのが、こんなに好評とは…バリエーションも、後で考えるとするのですよ)


 考えながら手際よく皿を並べるマヌ。

 かつて暗殺のために身に着けた体術からすれば、こんなものは朝飯前。

 忘れていたドリンクを持ってカウンター内から飛び移るなども、簡単なことだ。


「いつもながら、すごい体術ですねえ」


 リューオが何気なく言うが。


「ま、まぁまぁ、こんなのは、近くのお店の子誰でもできることなのでぇ」

(誤魔化したのです、悟られてはいけないのです。)


 そんなことは絶対ないのは、店にいる客の誰もが知っている。

 が、何に関してもズレたことを言う、この性格もあって、この店の看板と言える人気なのもある。

 大半は、軽業で見えるパンツのせいでもあるようだが。


「では、これで、ご注文のお品は全てでございますね?」

「いつもありがとうございます」

「いーえいえ」


 アイーダも、ここは贔屓にしているらしい。

 気軽に会話できるだけで、よく知る人には驚きであるアイーダと普通に変えなじみのようにいられるのは、結構すごいはずだが、それ自体はマヌに興味はない。

 しかし。


(…あれ?色の違うの、勇者のものじゃないような…いや…え?)

「一口、先に頂いていいです? それ」

「あ、はい」


 毒見という、自信の役割は絶対にやるアイーダ。

 リューオの側を一口飲むが、何も反応がない。


(間違ったのです!まずいのです!)


 思わず全力で体当たりするマヌ。

 アイーダとの関係はともかく、彼女が死んだらこの街の範囲で済まない大問題が起きる。

 出張組とはいえ国王直属で姫との親交深く爵位持ち。

 不審死がなあなあで済むわけはない。

 そこに及ぶルートは、やるわけにいかない!

 飛び込んでテーブルをひっくり返し、入ったスープは処分!

 どこに!?

 とりあえず頭が回らないので、即座にできると言えば、飲む!


「な!?」

「いったい何をして!?」


 ひっくり返ったついでに巻き込んだ二人。

リューオの首をスカートの中に巻き込んだり、かなりとんでもない姿勢で、マヌは気絶した。

 毒で。

 全て飲みきれたわけではないので、服などにもかかったりするわけであるが。

 即座に服は変色し、明らかに異常なものがあったとわかる。


「これは…どういう?」


 アイーダも困惑する。

 が、変色した服がすぐにボロボロになったのをみて、察したものは、あった。

 

「…床が柔らかいのです……」

「あ、気が付かれましたね」


 目が覚めた瞬間、ほかの声で、マヌがビクンと反応する。

 跳ね起きる。

 気が付くと、ずいぶんと上等なベッドで寝ていたようで、しかも、何でだろう、うす布一枚かぶせられていただけで、裸だった。


「な、なんなのです!?」

「申し訳ありませんね、ご事情を深入りする気はなかったのですが…」

「にゃ!?」


 アイーダが隣にいる。

 いろいろと解析が不能なことの連続に、マヌは驚くばかりだ。

 あれだけしたのだ、もう捕まって、アイーダにこれから毒を盛った犯人として拷問されるのか?

 そうだったらとても悲しい人生だった。


「姿を隠して、人間として生きているのを暴くつもりはなかったんです、お許しくださいね、マヌさん」

「そ、そんなことはなくて、というかなんでそんなこと…」


 知ってるの?

 と細かく聞くまでもなく。

 ふと頭を触ると、猫のような耳が生えているのを理解する。


「変化薬ないのです!?私の姿!?戻っているのです!?」

「ご苦労なさって、姿を隠されているのであれば、こちらも替えの薬などはご用意できますので、大変すみません」

「な、なにが、おきてるのです!?わかんないです!?」


 事情は、割と実は分かりやすい。

 毒を浴びて、飲んで、大変なことになったマヌの治療を即座にリューオとアイーダの手持ちでするのに、身柄を少し預かった。

 速度もそうだが、リューオのポッドのほうがこの辺の医療機器よりよほど高機能なのは誰よりアイーダが知っている。

 なのでリューオの泊まる部屋でそれを行い、毒のついた服などはそのままで置けないので一度アイーダが脱がし、体を拭くなどした。

 多少は二人も毒のしぶきなどを浴びている可能性はあるため、そちらも個別に対処。

 事なきを得たわけだが。


「そうそう、我々をお救い頂いて、本当にありがとうございました」


 どうやら、暗殺からマヌは二人を救ったという状況になっているらしい。

 これは、急な把握はできないことに違いない。


「まだ、完全に回復はしていないでしょうし、今日はゆっくりしてくださいませ」


 言って、急いだようにアイーダが服を脱ぎだす。


「にゃ、何を!?にゃにを今度はしているのです!?」

「リューオさまが、私にかまわず入浴しているので、わたし、お背中を流そうと思いまして」

「……すっごい酔ったような、すごい顔しているのです…」

「あら、そんなことないですわ」


 欲望がもう止められない、そんな顔をしている。

 マヌが無事目を覚まし、まだ間に合うとみるや、いてもたってもいられず脱ぎ散らかしてタオルだけをまいて、浴室に急ぐアイーダ。

 どこまで行く気なのか、もはや当人以外が見る分には見当がつかない。

 凄いものを見た。

 と、思う傍ら。

 マヌは、ひとつ思いつくものがある。

 

「な、にに、なにをしているんです…アイーダさん…」

「何って、お背中を流しに来たのですが」

「いや、服はなんですか!?何したんですか!?」

「服なんて、濡れちゃうものをお風呂で着たりはしませんでしょう?」

「もっとなんか、違いません!?」

「大丈夫です、リューオ様のお体が狼藉で問題が起きていないか、わたしは確認のお仕事をしているんです」

「本当にどうしたんです!?」


 もう我慢がならない、このタイミングなら直に触って好きにする口実になる。

 アイーダの脳は、色々なことが起きたり、マリカの店で色々見せられたりしたあたりで理性の残りが減りすぎてしまった。

 皇女の視覚と共有したままなのも、お構いなし。

 というより、ある程度見るのは、それも仕事という側面まであるので、歯止めが効かない。


「なんでしたら、ふたりがかりで行けるのです」

「どうなってんの!!!」

(こうなれば、武器がないリューオをこのまま首絞めてやってやるのです!)


 さらに後ろから全裸で登場する看板娘。

 まぁ、それは、出来るはずはないと思う。

 しかし、色々狂っているこの中なら、アイーダに直後に殺されるリスクを考えないなら、可能かもしれない。

 そこまで頭が働いていたら、そもそも毒を飲んだりはしない気はするが。


「命の恩人でありますし、ま、触るくらいなら許しても、ですが」

「僕の判断ってないんですかね!?」

「フフ、こわくなんかは、ないのです…そうなのです…」


 どちらも、リューオから見ると特別に目が怖い。

 片方は性欲、片方は殺意に既に狂っているのだから、それはそう。


「こ、こっちにも心の準備というものが、です、ね…ちょっと時間を置くというのは…」

「ないです」

「ニャいのです」


 会話は成立しない。


「「ではいただきます!!」」

「どの意味!?」


 その時。

 

 瞬時に、リューオが消えた。

 誰一人、何が起きたかは、わからない。

 

 知っている一人は…。


「あら、こんなにすぐでしたのね」


 裸でどこかの家の食卓らしいところにいるリューオ。


「さっき自己流のジャムを作っておりまして、味見してほしかったんですの」


 あの村の、村長の近くの人とかいう誰か。

 どうやら。


「あ、それだけで、あのアイテム、使いました?」

「はい」


 にっこり。

 村に万一のことがあったときのためにと、最後の手段のつもりで渡したもの。

 値段的に、あの城塞の建設費より高い苦肉の策レベルの転移アイテムだったのは、村の誰にも、黙っておこうと、リューオは誓った。

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