desire on my sister
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その日の夜、カンナの部屋の扉からノックの音が聞こえた。
「セリア、入るわよ」
「…………」
妹からの返事はない
「入るわね」
「うん……」
ようやく返事が返ってきたところでカランは扉を開けて部屋の中に入った。
さすがは一国の要である王宮の部屋というべきか、1人にしてはとても広く、3人も横になって寝れそうなほどの大きさのベッドの上に、セリアの姿があった。
「ごめんなさい……」
カランがセリアの隣に座った瞬間、小さくそう囁かれた。
「セリア……」
カランは思わずセリアの体を胸いっぱいに抱きしめた。
「お姉ちゃん?」
セリアは何が起こったのか全く分からない、ただ姉のカランに不思議な眼差しを向けることしか出来なかった。
「謝るのはわたしの方なの……ごめんなさい、セリア……!」
「今日のことはもういいの、だから泣かないでお姉ちゃん」
言われて気がついたカランは泣いていた、それは今日あったことが原因ではない。
カランはセリアを自分の身から離すと深呼吸をひとつ、そして我が妹の瞳をじっと見て、告げた。
「セリア、今から言うことはセリアにとってとても辛いことかもしれない」
「……?」
「セリアは魔女になりたいのよね」
「うん!お姉ちゃんみたいな立派な魔女になりたい!」
その言葉を聞いて再び雫が零れるカラン。
「でも、セリアは魔女にはなれないの……」
「……どうして?」
「セリアは…………、セリアは魔法を使うことができない、の……」
カランは我が事のように悲しくなった。
魔女になりたいのに、魔法が使えないと告げられれば1晩泣きじゃくっていただろう。
しかしセリアは違った。
「知ってる」
「っえぇ……?!」
「私が魔法を使うことが出来ないのは、分かってたの」
カランは驚きのあまり涙が止まり、嗚咽も止まった。
「それじゃあどうして魔法学校に……?」
「昔お姉ちゃん言ってたもん、『魔法は誰かを幸せにするもの、どんな方法であろうとそれが幸せを運ぶものならなんだって魔法』って」
「でも、それだけで魔法学校に入学するのは難しいかもしれない」
「お姉ちゃんの、シールイア王国いちの魔女様の言葉だもん。できないことはないの!」
「セリア……!!」
「お姉ちゃんみたいな魔法使いになる夢、叶うかな」
「もし私みたいな魔女になったら、とっても嬉しいな」
「えへへ」
セリアは魔法を使うことが出来ない。
しかしそれでも誰かを幸せにすることで魔法の証明になるという姉の信念の元、セリア。………セリア・フィリアス・ラ・シールイア第二王女は王都内の魔法学校に通うことになったのだった。
シーレイアの蕾(Seareia)ー強い意志
キアルアの花(kyalla)ー大切にする思い
一体なんでしょうか