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支援魔法使いの逆転!ダンジョン攻略記  作者: ウィロ
第三章 『学園の新生活』編
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第二十話 落ちこぼれパーティー?

 現在、おれたち3人のクラスである1年4組の教室内では不穏な雰囲気が漂っていた。


「劣っている者に劣っていると言って何が悪いんですの?これだから知力のない人たちは嫌いですの」

「知力がないのはどっちなのかな?あなたの方がフォルみんより全然バカに見えるよ?」

「私は知力Aですのよ。知力BやCのあなたたちの方が劣っているに決まっているでしょう」

「うわ!わかってないなー。才能で全てが決まるわけじゃないんだよ?そんなことも知らないの?」

「井の中の蛙のあなたは知らないだけですわ。努力ではくつがえらない才能が時にあるということを」


 どっちもすごい煽り合うなあ。

 煽り合っているのはクラウさんと貴族っぽい女子の人だ。

 女子ってあんまりこうやって表立って言い争うイメージなかったけど、この世界では違うのかなあ。

 何でこんなことになってるんだっけ?



 煽り合いが始まる30分ほど前。教室に向かうことが決まった後、ソラと別れ、フォル君、クラウさんと一緒に教室に入ってみた。

 教室内は前世の学校とほとんど変わらない作りになっていた。以前から考えていたことではあるがもしかしたらおれ以外の日本人転生者がいるのかもしれない。

 王都に住み始めてから日本っぽさを感じることが多くなった。

 例えば、着いてすぐの頃には分からなかったが、おれが王都の建物を綺麗だと感じたのはこの地の建物が単純な土魔法で造られていなかったからだ。

 そしてそういう建物のデザインは何となく日本を彷彿とさせるのだ。このアストロ学園の校舎もそうである。

 単に文明が発展した結果そうなっただけと言われても信じられるレベルの話ではあるのだが、そもそもおれ一人だけが例外というのも考えづらいというのが大きい。

 まあ、他にもおれのような前世持ちがいて欲しいという願望からきているだけな気もするけどな。


 それはともかく、教室内はおれの想像通りの形になっていた。中には既に生徒が何人かいて、自己紹介をし合っている者、だれに話しかけようか迷っている者、早速仮パーティーを結成している者など様々であった。

 そんな風に教室内を観察していると、一人だけ制服を着た人物が声を掛けてきた。


「こんにちは。君たちも仮PTの結成をしに来たのかな?それとも単にクラスメイトがどんな人なのか見に来たかったとか?まあ、どっちでもいいか。僕はこの学園の3年生で生徒会役員をやっているカイっていうんだ。よろしくね」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 いきなりマシンガントークを繰り出してきた人はカイというらしい。3年生ってことは先輩だな。カイ先輩と呼ぼう。

 そんなことを考えているとフォル君とクラウさんもカイ先輩に挨拶をしていた。


「それで、君たちも仮PT結成希望ってことでいいのかな?」

「はい、そうです」


 カイ先輩の問いにおれは元気よくそう答える。

 その声が聞こえたらしいクラスメイトの人たちはおれたちの方を注目し始める。


「じゃあ、みんなの前で一人一人自己紹介してもらおうか。誰からでもいいよ」


 そう言われておれたちは顔を見合わせる。

 自己紹介って絶対最初の人が一番プレッシャーかかると思うんだよな。

 2番目以降の人は流れに乗ればいいだけだし。

 2人が嫌がりそうならおれがやろうかなと思っていたところで、フォル君が声を上げた。


「僕が最初にやるよ」

「あ、ありがとうフォル君」

「全然いいよ」


 ありがたいことにフォル君はそう申し出てくれた。

 クラウさんは何でおれがお礼を言ったのか分からなかったのか不思議そうな表情をしていたが。


「僕の名前はフォルと言います。希望ロールは軽戦士です。素早さと防御力には自信があります。ダンジョンでの目標は50階層突破です。よろしくお願いしまーす」


 フォル君らしいほがらかな感じで自己紹介を終えた。

 なるほど。言った方がいいことは名前・希望ロール・得意なこと・目標の4つなのかな。

 フォル君が自己紹介を終えると、教室内に拍手が起こった。

 なので、おれも合わせて拍手しておく。


「次はボクが自己紹介するね」


 そう言ってクラウさんが目線を送ってきたので、おれは頷きを返しておく。


「ボクの名前はクラウ。フォルみんと同じく軽戦士希望だよ。今PTメンバーは3人決まっているからあと二人募集します!強い人や魔物と戦うのが好きなのでいつでも対戦希望待ってます。四年間よろしくお願いします!」


 うん。クラウさんのそのこれまでの流れをぶち壊していくスタイル、好きだよ。

 でも、今はやらないで欲しかったかな。おれがやりにくくなるから。

 まあ、いいや。

 おれはフォル君スタイルでいこう。

 そう決めて、おれはクラウさんと入れ替わりで前に立つ。


「えー、おれの名前はリックと言います。希望ロールは支援魔法使いです。得意なことは魔力操作だと思います。ダンジョンでの目標はダンジョンの完全制覇です。よろしくお願いします」


 パチパチパチと()()()おれも拍手はされた。

 だが、何人かからは明らかに歓迎されていない視線を受けた。

 まあ、そういう視線を受けることは予想済みだったので、気にせず2人のところに戻ろうとすると……


「ちょっと待って!希望ロールは支援魔法使いって本当?」


 ここで待ったをかけてきたのはカイ先輩だった。

 遅かれ早かれこれは聞かれると思っていたので、おれは迷いなく答える。


「はい。支援魔法使いはPTパーティーに必要なロールだと思いますので」

「そうかもしれないけど、それはアストロ学園生がやることじゃないんじゃない?」

「でも、もう決めたことですので」

「ふーん。そっか。分かったよ」


 ?

 何か一瞬カイ先輩からすごく冷たい空気を感じたのだが。

 気のせいかな。


「自己紹介も終わったことだし、ここからは自由だよ。仮PTは4人か5人で組むから決まったら僕に言ってね」


 そう言ってカイ先輩はおれたちから離れていった。

 なので、おれたちも早速それぞれでメンバー探しを始めた。

 おれはまず、窓側で話をしていた男子2人組に話しかけてみることにした。


「ごめん、ちょっといいかな?」

「あ!支援魔法使い君じゃん。はじめまして」

「こちらこそ、はじめ。さっき自己紹介したばっかりだけど……」


 そんな感じで話しかけてみた2人組はかなりおれのことを好印象で見てくれているようだった。

 何でも、希望ロール支援魔法使いでダンジョン完全制覇を目指すと言ったことが、度胸があって良いということらしい。

 残念なことに仮PTのメンバーはすでに3人決まっているらしいので、共にPTを組むことはできなさそうだが。


「ところで、そのPTメンバーの後一人はどこにいるんだ?」

「ああ、トイレに行くって言ってただけだからもう戻っても良い頃だと思うんだけどな……」

「もう戻っていますよ」

「うわあ!」


 びっくりした!

 思わず声を上げてしまったので教室内の注目を浴びてしまう。


「そんなに驚くことないじゃないですか。普通に声を掛けただけですよ」

「いや、ごめん。でも、以前こんな風に驚かせようとしてきたルームメイトがいたんだけどその時はこんなに驚かなかったんだよ?」

「おいおい、それどんな言い訳だよ」

「そうですよ。それじゃあ益々僕の影が薄いって言ってるようなもんじゃないですか!」

「はは、それもそうだね」


 その影の薄い人はシャド君と言うらしい。

 影が薄いのは生まれつきらしく、親友の家に泊まりに行った時、家族に家に帰っていないことが知られていないことなどもあったそうな。

 本人は兄弟姉妹が多いからだと言っていたが。それでも家にいないことに気付かれないって相当だと思う。

 そんな話をして打ち解けていると、フォル君が声をかけてきたので、一旦3人組と別れた。


「ねえ、リック君。この人が僕たちとPT組んでみたいって言ってるんだけどどうする?」


 フォル君が連れてきたのは青髪ロングの少女だった。

 その少女は遠慮がちにフォル君の少し後ろからこちらを見ていた。

 さすがコミュ力お化けのフォル君!最初に話しかけるクラスメイトが女子とは。おれにはとても真似できない。


「はじめまして、マーレ……です。希望ロールは魔導士……です。えーと、よろしくお願いします?」


 何で挨拶が疑問形なんだ?

 まあ、それはともかくおれも挨拶を返すか。


「こちらこそ初めまして。おれはリック。希望ロールは支援魔法使いだよ。……えっと、PTメンバー決めるならクラウさんも呼んだ方が良いかな?」

「うん、そうだね。呼んでくるよ」


 フォル君がクラウさんを呼びに行ってしまったので、マーレさんと二人きりになってしまった。

 改めてマーレさんのことをよく見ると顔立ちはとてもきれいだなと思った。

 しかし、服は明らかに年季が入った物だとわかるし、髪もぼさぼさというわけではないのだが、あまり手入れされていないことが素人目で分かるレベルであった。

それに、なにより少しやせすぎであった。不健康という意味で。

 それを尋ねてもいいものか悩んでいるとマーレさんの方から話しかけてきた。


「あの、どうして支援魔法使いになろうと思ったんですか?適性がCランクだったからですか?」

「あ、知ってるんだ。うん、それもあるだろうね」

「やっぱりそうでしたか……」

「でも、それが一番の理由じゃなくて……」


 言いかけたところでクラウさんとフォル君がこっちに来た。


「あ、その人のこと?ボクはクラウ!よろしくね!」

「ちょっと待ちなさい!貴女あなた、そんな人たちとPTを組むつもりですの?」

「そうだよ。悪い?」

「そんなCランクの劣等者やスラム上がりの人の落ちこぼれPTを組むよりわたくしたちとPTを組んだ方が良いと思いますわよ」

「フォルみんやリッキーは劣等者なんかじゃないよ!」



 そうそう、こんな感じで煽り合いが始まったんだった。

 かなり唐突だったよなあ。

 でも、客観的に見たらダンジョン適性Bランク以上がほとんどのアストロ学園においては、PTの内2人(おれとフォル君)がCランクのおれたちのPTは『落ちこぼれパーティー』ってことになるのかな?

 学園生活初日から面倒なことになりそうだ。



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