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支援魔法使いの逆転!ダンジョン攻略記  作者: ウィロ
第二章 『アストロ学園入学』編
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第八話 道中にて


 馬車駅に集合はしたが、おれたちは別に馬車を使って移動するわけではない。移動手段は徒歩である。

 馬車駅を集合場所としたのはそこが町から出やすい場所であるということと、父さんが護衛する商人たちに会うためである。

 そもそも、馬車を利用する人はよほど体力に自信がない人か貴族くらいだ。

 なぜなら、馬車自体が高価であることに加え、舗装された道を通るためにかなり遠回りになるので、所要時間が今のところ徒歩と変わらないからな。

 馬車駅がこの町に作られたのもここ10年の話である。

 それでも安全な舗装された道ができたということで、最近おれたちの住んでいた町は発展しているところなんだけどな。


 そんな訳で、おれたち三人と商人四人、護衛がもう一人に案内役が一人の計九人で王都に向けて歩いているところだ。


「なあ、結局シエルちゃんに何を伝えられたんだ?」

「ん?普通に学園生活頑張ってこいって伝えられただけだよ」

「本当か?それだけじゃない雰囲気だったような気がするけど」

「本当だって。それ以外に何があるんだよ」


 最終的に、伝えたいことはそれだけって言われたしな。嘘は言ってない。

 中盤に話したことはなかったことにしておこう。深く考えたらダメな気がするからな。


 ソラは納得がいってなさそうだったが、そのまま引き下がってくれた。


「あ!そういえば新しく買った剣を見せるって言ってたな。町からもう結構離れたし剣を出しても良いよな」

「そうだな。でも一応父さんに聞いて来いよ」

「おう、そうする」


 そう言ってソラは父さんの方に聞きに行った。

 配置的には案内役の人が一番前で、その後ろにもう一人の護衛、商人たちと続いて次におれたち二人、最後尾に父さんといった感じだ。

 皆、マジックバッグを持っているのでかなり軽装だ。

 そんな感じで周りを見ていると、ソラが戻ってきた。


「グラントさんが商人さんともう少し離れたら良いってさ」

「そっか」


 言われた通り、おれたちは少し歩くスピードを遅くして商人たちと距離を取る。


「これ位で良いだろ。早速見せてくれよ」

「おう。これだ」


 そう言ってソラが鞘から剣を取り出して見せてくる。


「きれいな銀色だな。やっぱミスリルは見た目がカッコイイな」

「そうだろ!しかもそれで魔法の威力まで上げられるんだぜ!早く使ってみたいよなー」

「いきなり壊したりするなよ。ミスリルは意外と耐久性ないんだから」


 まあ、ミスリル()()の剣なのでマシだとは思うが。


「それは分かってるって。それより、魔物と戦うことにならないかなぁ」

「強い魔物がいる場所は避けるルートを通るって父さんが言ってたけど、弱い魔物ならもしかしたらあるかもしれないな」

「だよな。イメージトレーニングしとこ」


 もし遭遇してもおれたちが戦うことにはならないと思うけどな。

 だが、一応おれも心の準備だけはしておこうかな。



 結局、その日は何度か魔物に遭遇したものの前にいる護衛と父さんのみで片付いてしまった。

 今はもう日も暮れて、ある洞窟で寝る準備をしているところである。


「あーあ。今日はこの新しい剣を使う機会がなかったな」

「それは仕方ないね。そもそもおれたちが戦わなきゃいけない状況なんてかなり危険な状況ってことなんだからそんな状況はないほうが良いんだよ。アストロ学園に入学した後は使う機会もあるだろ」

「それはそうなんだろうけどさー」


 まあ、ソラの気持ちも分からなくはない。

 おれだってこの新しいシューズが実際の戦闘で使えるのか試したい気持ちはあるからな。

 けど、今回はおれたち以外の人もいるわけだし難しいだろうなあ。


「ちょっと失礼。君たちは今年のアストロ学園の入学生なのかな?」

「はい。そうですけど……」


 声を掛けてきたのは商人の中の一人であった。

 歳は50代か60代といったところだろうか。顔にはしわが多く刻まれ、髪は白髪になっている。だが、年齢による老いはあまり感じられず、むしろ威厳が感じられた。

 そんな人物に最初の挨拶以来、初めて向かい合い、しかも心の準備もできていなかったため少し萎縮してしまった。


「ああ、気を楽にしてもらっていいですよ。少し話し声が聞こえたものでね。何でも、君たちはアストロ学園の次期入学生で、この王都への道中で魔物と戦ってみたいのだとか……」

「はい、そうなんですよ。ダメですかね?」


 ソラがそう返事をする。物怖じしないのはこいつの良いところだよな。

 少し(うらや)ましくもある。

 それにしてもこの雰囲気と外見で丁寧語だと違和感があるな。


「おっと、エンバさん。うちの息子たちに何か用ですか?」


 商人の名前はエンバというらしい。自己紹介は最初にしたはずなのだが、忘れてしまっていたな。

だが、丁度いいタイミングで父さんが見張りから戻ってきてくれて良かった。

 どうやらもう一人の護衛と交代の時間だったようだ。

 魔物・動物除けの道具を使っているとはいえ見張りは必要だからな。


「ああ、この子たちが魔物と戦ってみたいという話を聞きましてね。将来有望なアストロ学園の次期生徒だというのならどんなものかこの目で見たいと思っていたのですよ」

「そうでしたか。しかし、それですと取り逃がす魔物も出てくると思われるため魔石の確保が少し難しくなると思われるのですが……」

「少しくらいなら構いませんよ。もちろん、安全第一でお願いしますが」


 道中で手に入った魔石は基本的に依頼主の物になるという決まりがある。

 これは、護衛の者が魔物に対して深入りし過ぎないための措置だ。

 護衛は依頼主を守ることが第一だからな。


「そうですか。ありがとうございます。息子たちにもいい経験になると思います。ほら、お前たちもお礼を言え」

「「ありがとうございます」」

「うん、楽しみにしているよ」


 思いがけず、おれたちも明日から戦闘に加わることになった。

 でも、どうしてあの商人はこんなことを許可してくれたんだろう?

 本当に善意だけなのかな。


「ねえ、父さん。どうしてエンバさんはおれたちが戦うことを許可してくれたのかな?」

「それは多分、スカウトのためだな」

「スカウト?」

「ああ。エンバさんの店は主に魔道具を取り扱っているんだが、その魔道具に必要な魔石を自分たちで確保できるように探索者を雇ったりもしているんだ。だから、将来探索者になることが多いアストロ学園の生徒だって聞いて目を付けたんじゃないかな」

「おー。おれたちスカウトされるかもしれないのか」

「いや、でも今回は好奇心が大部分だと思うぞ?さすがに12~3歳の子供にそこまできたいしていないだろうしな」


 なるほど、そういうことだったのか。

 実際に戦闘を見て、有望そうならスカウト……まではいかなくても縁を作っておこうと。

 ダメならダメで後ろには父さんやもう一人の護衛もいる。今日見た限りでは苦戦すらしていなかったので、余裕もあるだろうという判断か。


「ねえ、明日通る道はどんな魔物が出るかもしれないの?」

「そうだなあ。『ゴブリン』や『ブラックウルフ』、大型のだと『オーク』や『ビッグボア』辺りが出る可能性が高いんじゃないかな」

「ドラゴンやヴァンパイアとかは出ないんですか?」

「出てたまるか、そんなもん」


 ソラの発言におれはそうツッコミを入れる。

 そんな災害級の魔物が現れたら今のおれとソラはとてもじゃないが太刀打ちできないだろう。


「そういうのがいるルートは選んでないから安心しろ。でも万が一、そのレベルの魔物が現れたらすぐに後ろに下がれよ。時間稼ぎくらいはしてやるから」

「分かってるよ」

「ま、それはそうだよなー」


 さすがにソラも冗談で言っただけだったらしい。


「じゃ、お前たちは明日に備えてしっかり寝ておけよ。父さんも仮眠を取るからな」

「「はーい」」


 最後に「おやすみ」とだけ言ってすぐに父さんは眠ってしまった。護衛はおれたちの半分しか睡眠時間がないので、素早く眠る技術が必要なのだろう。


「じゃ、おれたちも寝るか。おやすみ」

「おう、おやすみ」


 明日は恐らく魔物と戦うことになる。

 しっかり体力と魔力を回復させとかないとな。


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