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支援魔法使いの逆転!ダンジョン攻略記  作者: ウィロ
第一章 『旅立ち』編
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プロローグ 支援魔法使いは不要

 支援魔法使いはダンジョン攻略において不要である。そう言われるようになって久しい。


 支援魔法使いは読んで字の如く、パーティーの支援に徹した魔法に魔力を割くロール(役割)である。聖属性の回復魔法を始め、火、水、風、土の基本四属性の下級魔法を中心的に扱い、敵の妨害などをする他、無属性魔法によるパーティーメンバーへの強化(バフ)や敵への弱体化(デバフ)も担うというパーティー縁の下の力持ちであった。

 そんな支援魔法使いが不要と言われるようになった理由は色々ある。

 ポーションの普及による回復魔法の価値低下をはじめ、魔法杖などの武器の高性能化による中級魔法以上となる攻撃魔法の使い手の増加、ステカメ(ステータス分析カメラ)による探索者のロールの適正化、ダンジョン攻略が進むにつれてのモンスターの巨大化による下級魔法の効果減少などが主に挙げられるだろうか。

 だが、一番の理由はそれらではないだろう。


 その理由は『支援魔法使いの報酬は基本、前衛ロールの三分の一とする』と探索者ギルドの定める規則に記載されているからである。

 補足すると、後衛ロールの一つである魔導士(攻撃魔法使い)は、前衛ロールの八割である。


 報酬が少なければロールとして人気が出ないのも当然だろう。それも公式のものであれば、なおさらである。


 もちろん、なんの正当性が無いわけではない。

 支援魔法使いは基本的に装備を使用しない。魔法杖は魔力を一箇所に集めてしまうため、複数人に対する支援ができない上に、弓などの装備をしても結局は魔力操作に集中してしまい無駄になるからである。

 装備したとしても、素早さを上げるシューズか、短剣くらいである。つまり、重戦士が使う剣や鎧のような装備代が必要ないのである。

 さらに、これは魔導士にも言えることであるが、後衛であるため、死亡率も負傷率も低い。

 しかも、魔導士には必須と言われる魔力回復ポーションですら、支援魔法自体の魔力消費が少ないため、必要数が少なく、ポーション代も安い。また、才能がない者がなりやすいというのもある。

 それらを考慮しても、少なすぎる感は否めないが。


 そもそも、『軽戦士』や『弓術士』のように他のロールは『~士』で統一されているのに対し、支援魔法使いだけそのようになっていない時点で色々とお察しである。


 とにかく、それらの影響により、支援魔法使いとなる者が年々減少していき、有能な支援魔法使いが少なくなり、ついには不要とまで言われるようになったのである。





 しかし、その風向きをたった一人の少年が変えていった。数十年にわたって誰も変えられなかった風向きを『たった一人で』である。


 なぜその少年はそのようなことができたのだろうか。

 その少年は何か特別な才能があったわけではない。

 その時の権力者であったわけでもない。

 その少年は地道な努力と、知恵と、少し変わった発想によって、周囲の人間から徐々にその認識を変えていったのだ。


 そして、やがてはこの世界のダンジョンを完全攻略するに至ったのである。


 この少年のパーティーがダンジョン攻略を成し遂げた後のダンジョン探索者は皆口をそろえてこう言うだろう。


 『ダンジョン攻略において支援魔法使いは必要不可欠である』と。


 この物語はそんな少年の『ダンジョン攻略記』を描いたものである。


読んでいただきありがとうございます。

これからも読んでいただけると嬉しいです。

評価・感想などをいただけるともっと嬉しいのでよければお願い致します。

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