夢の続き
いい夢を見た。
ずいぶん満たされている、幸せな夢だ。
満たされた時間が、私の心にしみわたる。
実に、実に幸せな時間が過ごせた。
こんな素晴らしい夢を見ることができた、それだけで私は満足だ。
いい夢を見た。
ずいぶん満たされている、幸せな夢の続きだ。
満たされた時間が、今日も私の心にしみわたる。
実に、実に幸せな時間が、今日も過ごせた。
こんな素晴らしい夢を見ることができた、それだけで私は満足だ。
いい夢を見たい。
ずいぶん満たされている、幸せな夢の続きを見たい。
満たされた時間が、今日も私の心にしみわたるのを、願う。
実に、実に幸せな時間を、今日も過ごしたいと私は願う。
素晴らしい夢を見ることができたら、それだけで私は満足できるのだから。
いい夢を見た。
ずいぶん満たされている、幸せな夢。
満たされた時間が、私にしみわたる。
実に幸せな時間が過ごせる。
素晴らしい夢を見ることができる、それだけで私は満足だ。
いい夢を見続ける、それが私にできる事。
いい夢を見続ける事だけが、私にできる、唯一。
現実なんて、見なくていい。
現実なんて、見る必要がない。
現実なんて、私には必要ない。
夢があれば、それだけでいい。
幸せな夢だけ見ながら、私はここにいればいい。
現実の世界など、私の知らない世界。
夢を見ることに満足している私は、現実を見たいとは思わない。
夢を見ることしかできない私は、現実に気が付かない。
夢を見ることしかできない、私。
現実を見ることを、諦めたのはいつだっただろう。
現実を見たところで、どうにもならない。
現実を見たところで、何もできない。
現実を見ることが、できなくなったのはいつだっただろう。
現実を見ることができなくなったことを、受け入れた。
現実を見ることができなくなったことから、逃げ出そうと思わなかった。
私はずっと、夢を見続けることを、望んでいる。
私はずっと、夢を見続けることを、望んでいるのだ。
現実を見ることのできなくなった私は、ただただ、夢を、見続けている。
現実を見ることのできなくなった私が、現実世界で、横たわっている。
現実を見ることのできなくなった私に、誰一人として、気が付かない。
現実を見ることのできない、ただの屍は、ただ腐ってゆくばかり。
現実を見ることのできない、ただの屍は、ただ都合のいい夢だけを見続けて、腐ってゆくばかり。
現実を生きる誰かが、私を、見つけるまで。
私は、夢を、見続けることが、できる。
夢の続きを見るために。
夢の続きを見るためだけに。
現実を見ることのできない、ただの屍が…都合のいい夢だけを見続けて、腐ってゆく。
現実を見ることのできない、ただの屍は…都合の悪い現実を見ることなく。
ただ、ただ…腐り続けて、ゆく。