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≪2章:砂漠の暇潰し≫


照りつける太陽。波打つ砂塵。

そしてーー砂漠の中のオアシス。


私はいまフィオレ国の南にある熱砂の国、アッザラーム国にいる。

そして、目の前の状況に困惑していた。


「え、なんで水精霊がここにいるの?」


目の前には水色の半透明な小人型。水精霊だ。

のんきにプカプカ水面に浮かんでいる。


「なによ、水精霊が日光浴しちゃいけないわけ?そんなあんたの方が何してんのよ。」


如何に太陽が誰に対しても等しく降り注ぐとはいっても、精霊が日光浴するものか。私は一人悩んだ。


「何って、旅商人のキャラバンの護衛よ。」

「あら、あなた風精霊を連れてるのね。しかも綺麗な魂。」

「シャルル。出てきて。私はアイシャ・スターランド。よろしく。」


私の呼びかけに応じて、空中に緑色の半透明な小人が現れる。そして私の周りをくるくる周ると、低空飛行して水精霊にタッチした。


「水精霊が日光浴だって!面白いね!キャハハッ」


「...シャルルとアイシャね、面白そうじゃない。教えてあげる。私はミーケ。これから末永く宜しくするかもしれないし、しないかもしれないわ。」


水精霊、ミーケは仲間になりたそうな目でこちらを見ている。私は沈黙した。こうも簡単に精霊が名前を教えていいのか。


精霊との契約は2段階ある。1段階目は互いの真名を交わし合う。つまり挨拶だ。この段階で世界の何処にいても精霊を呼び出せるようになる。既に私は海中にいようと火山にいようとミーケを呼び出せる。

2段階目は互いの粘膜接触、いわゆるキスだ。これを以ってして契約となる。契約者は精霊を常に傍におき、いつでも精霊の力の行使ができるようになる。


「おーい、オアシスから移動するぞー。」

「はーい!」


チュッ


振り返ると口元にいつの間にか水精霊がきていた。

そしてあろうことか、私の意志とは無関係にキスしたのである。


「あっ...なんでぇ!?」


驚愕に口が開いたままの私。

そんな私を見て、水精霊はニヤリと嗤う。


「だって、あなた面白そうじゃない。日がな一日日光浴してるくらいなら、あなたについて行った方がまだ楽しくなりそうだわ。これから宜しくね。」


私は頭痛を抑えて、護衛の冒険者たちの集まる商隊の先頭へと向かったのであった。




ーー拝啓、お父様。

アッザラーム国での商隊護衛中に、思わぬ拾い物をしました。

まさか、熱砂の国で水精霊と契約することになるとは思いたくありませんでした。

他、詳しいことは冒険者に扮していた"影"にお聞きください。

筋肉の付き方が冒険者とは違いますし、何気ない動作ですぐに分かりました。

そちらは朝晩の寒暖差が激しくなっている頃だとおもいます。お身体ご自愛ください。


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