一緒に婚約破棄を勝ち取ります
学園の卒業式の日、私に声をかけてきたのは学園でも人気の一位二位を争うという噂のラングラール伯爵子息ポール様だった。
同い年の彼とは幼い頃からの婚約者であるが、月に一度の手紙だけで話をしたこともなかった。あまりにも露骨な形式上の婚約というやつである。というのも婚約の目的が私のうちからの援助金だったからだ。
ラングラール伯爵は王国の創建当時からある名門貴族であったが、何世代か前にあった大災害で領地が壊滅的な被害を受けて以降、立て直しが上手くいかず不遇の時代が続いていた。ところが最近になって新規に行った事業が大当たりした。早い話がうちのお金に頼る必要がなくなったのだ。
そのポール様がわざわざ私に話しかけてきたということは、いよいよ婚約破棄ということかしらね。初めて間近で見たが噂に違わず美しいお顔立ちだった。ポール様は一瞬その大きな目を見開いたが、直ぐその美しいお顔を曇らせて申し訳なさそうに言った。
「ニコル嬢、ラングラール伯爵家から婚約破棄をすれば君の名に傷がつく。ここはどうかなサヴィニー子爵家から破棄ということにしないか?」
「は?」
確かに婚約破棄の話だとは思った。だけど今まで手紙だけで済ませてきたことに対する謝罪もなければ婚約破棄の説明もない。どの面下げてうちからの婚約破棄にしろなどと言えるのか。
一般的には男性側からの婚約破棄は女性側にとっては不名誉とされている。だが、ラングラール家とサヴィニー家との場合はサヴィニー家側から婚約破棄すると今まで援助してきたお金をラングラール家が返還する必要がなくなるのである。ラングラール家の狙いは間違いなく後者だろう。せっかく大当たりした事業のお金から返還金を捻出したくないのである。
その証拠が先ほどのポール様のお言葉だ。人気者の自分が話せば何とでもなると思っているのだろうか。最近ではお金の問題が解決されたポール様を狙ってボードリクール侯爵家のアンヌ様が猛烈にアピールしていると聞く。
「ポール様申し訳ございませんが、婚約破棄のお話は父とお願いいたします」
私は踵を返すと学園を後にした。
こうなったら絶対にラングラール家側から婚約破棄させて、ついでに素敵なお相手を見つけてやりますとも!
いつ婚約破棄するんだろうかという人の噂など気にすることなくパーティに乗り出した私。もちろんエスコートはお兄様である。ファーストダンスが始まるとお兄様は私に耳打ちしてきた。
「なぁ、どうしてラングラール家側からの婚約破棄に拘るんだ。向こうの言う通りサヴィニー家側からの婚約破棄にすれば多少なりともお前の体面は保たれるだろ」
「何をおっしゃっているのですかお兄様。サヴィニー家側から婚約破棄にしたら今までの援助金は返還されないのですよ」
「別にうちは金には困ってないだろ。俺はお前が少しでも傷付かない方がいい」
「お兄様のお気持ちはありがたいですが、私はそんなことぐらいではへこたれませんわ。必ず返還させてみせます!」
「張り切るのはいいんだが、ラングラール家側から婚約破棄になったら次の相手を探すのは大変だぞ。パーティで見つけるつもりかもしれないが、貴族は体面が命だからな」
「当面は援助金の返還ありきで頑張ります。お父様にくれぐれもサヴィニー家側から婚約破棄しないようにお兄様からもお口添えお願いしますね」
「まったく頑固な奴だな。わかったよ。もし相手がいなければお前一人ぐらい俺が面倒みてやるよ」
「お兄様、最高ですわ。私、大船に乗ったつもりで頑張りますわ」
「あぁ…………ほどほどにな」
ファーストダンスが終わりお兄様はお友達のところへいった。私は給仕から飲み物を貰うとどこぞに素敵な方はいないかと物色を始めた。
「失礼ですが、サヴィニー子爵家のニコル嬢でいらっしゃいますか」
話しかけてきたのは金髪碧眼のいわゆる王子様顔の男性だった。お兄様と同じか少し上ぐらいの年齢だろうか。周囲の女性陣は何事かと私を見ている。
「はい、私がニコルですが」
「申し遅れました。私はボードリクール侯爵家のロベールと申します。初めまして」
ボードリクール侯爵家と言えば、ポール様に付きまとっているアンヌ様の家か……。
「初めまして」
「ニコル嬢、一曲お相手頂けませんでしょうか」
「えぇ、構いませんわ」
ロベール様のエスコートで次の曲に参加した私たちは広間の中央で踊り始める。
「それでロベール様は何かお話がございますのでしょ?」
「えぇ、ニコル嬢が察しのいい方で安心致しました。実は愚妹のアンヌがラングラール家のポール殿にちょっかいを出しておりまして、ニコル嬢にお詫びをと思いまして」
「別にロベール様が謝られる必要はございませんわ。私たちの婚約が形式的なものであるのは周知の事実ですもの。それも間もなく終わりですけれど」
「やはり婚約破棄されるのですか……」
「えぇ、ラングラール家側からの婚約破棄でしたらお受けするつもりですわ」
「は?」
「何か不都合なことでも?」
「いえ、普通はサヴィニー家側からの婚約破棄を望まれるのではありませんか?」
「私は望んでおりませんわ」
「くっくっくっ。予想外に面白い方ですね。申し訳ありません。私も腹を割ってお話ししましょう。実はアンヌをさっさとポール殿に嫁がせたいのです。ただ、ポール殿はあの通り見目のよい方だ。そんな方が女性側から婚約破棄されたとなれば、女癖が悪かったのではないかといった邪な噂が流れることは必定。当然ボードリクール侯爵家としてはそんなところに嫁がせるのは宜しくないと判断するでしょう」
「それでロベール様としてはラングラール家側からの婚約破棄を望んでいらっしゃるのですね。なら私たちは今日から同志ですわね」
「そうなりますね。それではニコル嬢、よろしくお願いします」
「えぇ、ロベール様。頑張りましょう!」
こうしてロベール様との二人三脚が始まった。
「ニコル嬢、先日もお話ししましたが、サヴィニー家側から婚約破棄して頂けませんか。あなたの名誉のためにもよいはずです」
「ポール様、私もお話ししているはずですわ。婚約破棄の件は父に話して下さいと」
最近頻繁にサヴィニー家を訪れるポール様。もちろん目的はサヴィニー家側から婚約破棄して欲しいというお願いのためである。破棄の話になる前までは一度たりとも会いに来られなかったポール様を快く思っていないのは私だけではなく、屋敷中の者が冷たい視線を送っているのだがポール様には通じていないらしい。訪れる時には律儀に花だの菓子だの持参してくるのだが、私から言わせてもらえば、そこに出せるお金があるなら援助金の返還に当てて欲しい。
しかもポール様が急にサヴィニー家に通うようになったものだから、近頃社交界ではラングラール家とサヴィニー家との婚約が形式上だったのは建前で、本当に愛を育んでいたのではないかとの憶測まで飛び交っている。迷惑にも程がある。
「また参ります。ニコル嬢」
にっこりと微笑まれたお顔はさすが学園の人気者だと思う。
「手強いね」
ポール様と入れ替わりに衝立の陰から現れたのはロベール様だ。
「そうなのです、ロベール様。あの方の神経はどうなっているのでしょうか」
「うーん、こんなに頻繁に来るとは思ってなかったよ。そのせいかアンヌもイライラしていてね」
「ラングラール家はやはりサヴィニー家側からの婚約破棄を望んでいるのですわよね」
「その辺はボードリクール家でも探ってみようか」
「お願い致しますわ」
「あなた、いつまでポール様にしがみついているつもりなの? プライドというものがないのかしら」
「は?」
「いい加減ポール様を開放して差し上げて欲しいと申し上げているのですわ。最近のポール様はお顔に憂いが出ていますの。お気の毒で見ていられませんわ」
いや引き留めるつもりは毛頭ないのだが……。そもそもラングラール家から婚約破棄をしてくれさえすれば、いつでも受けて差し上げるのに。
「あなたを傷つけまいとするポール様の優しいお気持ちが分かりませんの?」
「はぁ」
ポール様にそんな意図は毛頭ないと思われますが……。何を言っても通じなさそうな人がまた一人増えてしまったことに頭が痛くなる。屋敷の者もみな困惑を隠せていないと言うのに。
「また参りますわ」
艶やかに輝く髪を手で払われるお姿は流石ロベール様の妹だけあって神々しいのだが……。
「いやー、アンヌがごめんね」
アンヌ様と入れ替わりに衝立の陰から現れたのはロベール様だ。
「仕方ありませんわ。それよりも顔に憂いが出る程なのに諦めないポール様がいけないのですわ」
「まぁ、それもそうだけどね。ニコル嬢は本当に平気なの?」
「何がでございますか?」
「男性側からの婚約破棄は女性側にとって名誉なことではないからね」
「ロベール様は同志ではなかったのですか? 今更そんな心配無用でございますわ」
「同志ね……。なるほど、頑張ろうか」
「はい、ロベール様。よろしくお願い致しますわ」
「お父様お呼びでしょうか」
「あぁ、ニコルか。入りなさい」
心痛な面持ちでお父様が話始めた。
「ラングラール家から再三に渡り婚約破棄の話が来ている」
「えぇ、ポール様も頻繁にいらしてはそうおっしゃってますもの」
「ニコル。金のことなら心配する必要はないんだぞ?」
お兄様ってば、ちゃんとお口添えして下さったのかしら? やはり同志と呼べるのはロベール様だけだわ。
「お父様までそのような軟弱なことをおっしゃって。これは私の体面の問題ではありません。意地の問題ですの。散々相手にされてこなかったばかりか、今までかけたお金まで取られたとあってはサヴィニー家の沽券にかかわります!」
「まぁ、それはそうなのだが。お前が社交界で生き辛くなるのではないかと心配なんだ」
心配して下されば下さる程、なぜポール様みたいな方と婚約することになったのか気になる。
「そもそもなぜポール様と婚約させたのですか?」
「ラングラール家から是非にと言われて、ポール殿も外面はとても素敵な方だろ? きっとニコルも気に入るのじゃないかと」
「はぁ」
お父様、騙されたのですね。よくそんなことで今までこの家の財産を守り通すことが出来たと驚きですわ。まっ、これで遠慮の必要はありませんわね。
「お父様、どちらから婚約破棄しても、結局女性側に一度婚約破棄したというレッテルが貼られますわ。ご心配頂けるのはありがたいのですが、やはり納得がいきませんの。ここは私の我が儘に付き合って下さいませ」
「ニコル嬢」
「ロベール様、お待ちしておりましたわ。ご機嫌いかがですか? ポール様ばかりかロベール様までお顔の色が優れないなんて、アンヌ様に何を言われるか分かったものではありませんわ」
「うん。実はね、ラングラール家に探りを入れてみたんだけれど、ラングラール家側からの婚約破棄で構わないと思っているようなんだ」
「は?」
「不思議だよね。僕もここで直接ポール殿の話を聞いていなければ、ニコル嬢が婚約破棄を拒絶していると思っていたところだよ」
「でも先日父からラングラール家から再三婚約破棄の話が来ていると。でもお金の心配はいらないからと言われましたわ」
「うーん、もう一度お父上の話を確認してみる必要があるかもしれないね。もしかしたら家同士の思惑は一致しているかもしれない」
「分かりましたわ。ありがとうございます。ロベール様」
「お父様! ですからどちら側からの婚約破棄なのか確認されてますでしょ?」
「いやそれが……。ラングラール家からはポールから話がいっているはずだとしか聞いてなくてだな」
「は?」
もしロベール様のおっしゃっている情報が本当なのだとしたら、ポール様が家のご意向とは反対にサヴィニー家側からの婚約破棄を勧めていることになる。
「ポール殿はお前のことを本当に気遣っているのではないか?」
「そんな気遣いの出来る方でしたら、今までの長い婚約期間にいくらでも誠意を示すことが出来たはずですわ」
「まぁ、それは確かにそうだが」
「お父様は甘すぎます! 私がロベール様と確認いたしますので、今まで通りお願いいたしますわ」
「ニコル嬢」
「ポール様。今日はどのようなご用件ですの」
ポール様は私の座っているソファーまでやってくると片膝をついて私の手をとった。私は突然のことにビクッとした。
「どうかお願いです。サヴィニー家側からの婚約破棄にして下さい。私はあなたを傷つけたくない。今までの非礼は心よりお詫び致します。ですからどうか……」
ポール様のお顔はアンヌ様がおっしゃっていた通り憂いに満ちていた。かえって色気が増した気もしないでもないが。それよりも驚いたのは、ポール様が初めて口にされた謝罪の言葉だった。
「ポール様、申し訳ございませんがその件は父にお願い致します」
ポール様は何かを堪えるように口を引き結ぶと「また参ります」と静かに呟いた。
「ポール殿は本当にニコル嬢を気遣っているようだね」
いつものごとくポール様と入れ替わりで衝立の陰から現れたのはロベール様だ。確かにポール様のあの様子ではそう見えなくもない。
「でも私は信じられませんわ。だって何年もの間手紙だけのやり取りだったのです。一度だって会いに見えたことはありませんでしたわ」
「うん、それはそうなんだけど……やはり手強いね」
「ですからロベール様にも協力頂いているのではありませんか。よろしくお願い致しますわ」
「ニコル様。いい加減にして下さいませ。私、ラングラール家で話を聞いてまいりましたわ」
「はぁ」
「ラングラール家では再三婚約破棄を申し出ているそうではありませんか」
「みたいですね」
「今まで援助頂いた恩があるからと仰っていましたわ。そのせいでポール様がどんどんとやつれてしまわれて」
「そうですか……」
ラングラール家は援助頂いた恩があるから返還すると言っているのだろうか? それとも恩があるから私の体面を保つために甘んじてサヴィニー家側からの婚約破棄を受け入れると言っているのだろうか?
私はさっぱり分からなくなっていた。
「また参りますわ」
カツカツと去っていく後ろ姿をただ茫然と見ていた。
「アンヌがごめんね」
アンヌ様と入れ替わりに衝立の陰から現れたのはロベール様だ。
「ロベール様、一体どうなっているのでしょうか」
「うん、そうだよね。 こうなったら一同で腹を割ってみるか」
「は?」
「まぁ、僕も頑張るよ」
「えぇ、よろしくお願い致しますわ」
今サヴィニー家のサロンには私とポール様、アンヌ様、そしてロベール様がいる。一体どういう状況なのだろうか。ロベール様にお任せしたものの驚きを隠せずにいた。
「一つだけ注意しておくけれど今日に限ってはオブラートに包んだ物言いは無しにしよう。それじゃ、ニコル嬢から話してもらおうか」
進行を買って出られたロベール様が淡々と進める。
「私は婚約破棄を受け入れることに異論はございません。ただし、これまで見向きもされずお金だけ出していたというのは癪に障ります。ですからラングラール家側から婚約破棄して頂き、せめて援助金は返還して頂きたいのです。それだけですわ」
ポール様が悲痛な面持ちで俯かれた。
「それじゃ、次はアンヌから話そうか」
「分かりましたわ、お兄様。私はただポール様をお慕いしております。ポール様も婚約破棄には同意されているのでしょ? それならば早く婚約破棄して私と婚約して頂きたいですわ」
アンヌ様もなかなかやりますわね。
「それでは次はポール殿にお願いしようか」
「私は……いや、ラングラール家としてはラングラール家側からの婚約破棄で構わないと思っている。今まで援助頂いたことには恩を感じている。だから援助金は全て返還するつもりだ」
「えっ」
アンヌ様が目を見開いてポール様に詰め寄る。
「それなら何故ポール様はさっさと婚約破棄されないのですか」
「それは……」
言い淀むポール様の肩を揺さぶるアンヌ様をロベール様が首を横に振って制した。
ポール様は重い口を開いた。
「卒業式の日、私もラングラール家の意向通りに伝えるつもりだった。ニコル嬢を初めてまともに見たのはその時だった……。私はニコル嬢がこんなに素敵な人だと思っていなかったんだ」
「ポール様!? それはどういう意味ですの。散々見向きもしなかった婚約者に一目惚れしたとでも言うつもりですの? それじゃ私は一体……」
顔を伏せたアンヌ様から嗚咽が聞こえた。その場の空気が凍り付く。ロベール様がアンヌ様の背中をそっとさすった。
「ポール殿、妹を贔屓するつもりはありませんが、それは虫がいい話ではないですか」
「もちろん承知しています。ですからせめてニコル嬢の体面が保たれるようにサヴィニー家側からの婚約破棄にして頂こうと」
「そうなるとポール殿に良からぬ噂が出ることもありましょう。アンヌとの婚約は難しくなりますが、それはラングラール家としては承知されているのでしょうか」
「それは……いえ、ラングラール家としてはラングラール家側からの婚約破棄を望んでいます。ですが私は」
ロベール様がポール様の話を遮られた。
「私からもお話し致しましょう。私はやはりラングラール家側からの婚約破棄をして頂きたいと思っています。これまで婚約者に見向きもしなかったのはポール殿の勝手です。それなのに今更情が沸いたとでもいうのでしょうか。サヴィニー家側からの婚約破棄を勧めてニコル嬢の今後を心配する辺りは、はっきり言っておこがましいにも程があります。しかも、アンヌの事も中途半端。結局誰のことも考えていない自分勝手な行動なのです。そんな方に妹を任せるのは本意ではありませんが、家同士の繋がりもありますし、責任をとるという意味においてもアンヌと婚約するのが妥当な所でしょう」
ロベール様がポール様に鋭い視線を向けた。
「それにニコル嬢はあなたが心配しなくとも素敵な女性です。直ぐにお相手は見つかりますよ」
「これで良かったでしょうか。ニコル嬢」
ポール様とアンヌ様がお帰りになった後、残られていたロベール様が声を掛けてくれた。
「ええ。ロベール様、ついに私たち勝ち取りましたわね。結局ポール様は何だったのでしょう。私ずっと何年も……」
「彼は子供なのですよ。周りが見えていないだけでしょう」
本当は何年も見向きもされなかったことが悔しかったのだと気付く。
「ニコル嬢に魅力がなかった訳ではありません。現に彼は貴女に一目惚れしたのですから。そこを間違えてはいけませんよ」
「ロベール様、ありがとうございます」
「ニコル嬢。私からまだお話ししていないことがございます」
「なんでしょうか」
「ロベール・ド・ボードリクールと婚約して頂けませんか」
「へ?」
ロベール様は何を言っているのだろうか。
「先ほど直ぐにお相手が見つかると申し上げました。私では駄目でしょうか」
「でも私はこれから婚約破棄のレッテルを貼られる身ですわ。きっとロベール様にご迷惑をおかけします」
「変な噂など私と婚約すれば直ぐにでも払拭出来るでしょう。それでも煩い連中にはまた二人で立ち向かっていけばいいではありませんか」
そうか、一人ではない、また一緒に頑張ればいいのですわね。
「ロベール様とはずっと同志ということですわね」
「同志ですか……もう少し格上げして頂きたいところですがね」
「これからもよろしくお願いしますわ」
「そうですね、これからもよろしくお願いします。婚約者殿」
「はい!」
こうしてロベール様との新しい二人三脚が始まった。
お読み頂きありがとうございました。
早速誤字報告ありがとうございます。
とても助かりました。