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犬視点

1人、また1人と倒れていく

朝、おはようと挨拶を交わした少女が

いつも豪快な笑顔が特徴的な少年が

次々と倒れていくのを我は見ていくことしかできない。


そして遂に追い詰められ、生き残った村人が洞窟に集まる

誰もが何処かに怪我を抱え無傷なものはいなかった。


「もはやここまでか…」


重々しい声で初老の男が呟く


「戦える者を集めましたが僅かばかりであとは女子供だけです…」


顔から血を流した緑色の肌をした男が言う


「助けはこないのですか!?せめて妻や子供だけでも…!」


「手は一つしかない…あの種族に救援を求める」


「なっ、本気ですか!?あの種族は…」


「承知の上だ、今はそうも言ってられない」


そこで初老の男は我を見た


「苦しい事を頼むようですまない、お前の自慢の足を使ってもらいたい」


その言葉で我も言わんとしている事は理解できた

あの人間どもの包囲を抜けて助けを求めに行け、と言うのだろう。


全て理解している、と頷けば初老の男は目を伏せる


「すまない、長老の私がもっとしっかりしていれば…」


その時、見張りから報告が来る


「奴らきました!」


その報告で皆がざわつく


「全員戦闘態勢!頼んだぞ天災狼」



こうして我は包囲を抜けて助けを求めることにした

だが我も包囲を抜ける際、攻撃を受け

血を流した。しばらく走ったが目も霞み、足も動かなくなった。

すまない…我もここまでのようだ


その時、足音が聞こえた

もう目も見えない我には気配しかわからなかったが、例え死ぬとしても最後まで抵抗する…!


「人間か……ここを立ち去れ、ここは我らの森だ。出ないというなら…ッ!」


そこまで言って倒れてしまう

もはや力が出ない


すまないみんな…ここまでのようだ


気配が近づく

何かが体に触れるのを感じる


「何をする気だ…?」


『ヒーリング』


急に体が軽くなり目も見えてきた


「これは…」


どういうことだ…傷が消えている

そしてこれをしたのは目の前の全裸の少女なのか


「何があった?」


そう聞かれる

我を治したのはこの為か…しかし

こいつに話していいものか?

そう思い、少女を観察してみる。

魔の森と呼ばれるこの森にこんな格好で来るということは…それなりの実力はあるのだろう。


ん……?

こいつ、ほかの人間とは匂いが違うな。

人間ではないのか?

いや、どちらでもいい。

今は奴らを倒せる可能性があるならどんなものにも縋るしかない。

実力があるのなら助けを求めるのもありか、まずは話してみよう。


「人間に我らの住処を襲われた、我が他の種族に助けを求めるつもりであった」


そう言うと少女は少し考えだ様子を見せてからこう言った


「住処、場所教えてもらえる?」


「聞いてどうする気だ?」


「助けに行くんだよ、服が欲しい」


ふむ、見返りに服か。

その程度ならすぐできるだろうが…問題はこいつの実力だ


「ついてこい、ついてこれなければ知らん」


我の全力についてこれないならあの人間達には勝てない

これでついてこれないならその時こそあの種族に助けを求める

我も素直な話、あの種族は好かん。出来ることなら手を借りることなく済ませたい。


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