三 家政婦のマローン
入口を探す前に
モンキチはスタート位置の木の根に
拾って集めた落ち葉を
こんもりと山のように積んで目印にした
20分ほど歩いただろうか・・
一周まわって目印に到着してしまった
入口らしきものは見当たらなかった
普通の家ではないのはモンキチにも
容易に想像できたが
全くの普通の自然木の幹だった
(本当にこの木なんだろうか・・)
モンキチは周囲を遠くまで見渡したが
他には巨木は見当たらなかった
「すいませーん!!!」
モンキチは駄菓子屋の奥の住居に
引っ込んでしまって出てこない店主でも
呼ぶかのように大声で住人を呼んだ
「ごめんくださーーーい!!!
すいませーーーん!!!」
しかしこだますることもなく
森は何の変化もおきず静かだった・・
「あの!すいま・・!」
「うるさいよ!」
「す!、、すいません!?」
声のする方を見上げると
巨木の幹の一部が窓のようにパかっと開いて
そこから声がしたのがわかった
「あ!
こちらはマザー・ベスさんのお宅ですか?」
「だとしてだ・・・・
お前は何者だ」
しっかり声はするが姿が見えない・・
「もしかして・・
マザー・ベスさんですか?」
「だとしてだ・・・!
お前は何者だ!と聞いてる!」
「あ、すいません、、
ぼくは、、迷子のモンキチです
かくかくしかじかで・・・」
「かくかくしかじかか・・
うぅむ・・
だとしてだ・・
誰にここを聞いた?」
「ジャブーさんという
鳥のかたにです
すいません鳥が
不思議ですが言葉を話せて・・」
「ジャブー爺ぃか・・
だとして・・
何を目的にきたんだ」
「マザー・ベスさん!
どうか元の世界に帰る方法を
どうか教えてください!」
「・・・・・」
「あのう?すいません?」
「・・・・・」
「あれ?」
「・・・・・」
ピシ!!
と大きな板が割れるような音がした
巨木の幹に四角が三つ重なるように
光がこぼれ始めた・・
一番小さい□が動き始め
ドアとなって入口が開いたではないか・・
そこからは小さな服を着て
黒く丸い眼鏡をかけたネズミが
姿を現した・・
「おい子供
もうすぐマザーはかえってくる
中で待ちなさい・・」
「あ!ありがとうございます!
でもこの入口では
僕は入れないです・・」
「これは三重ドアになってる
おまえなら”第二のドア”でいいだろう
まってなさい」
ネズミはそういうと一旦小ドアを閉め
つぎにゆっくりと2番目の四角が光りはじめ
中ドアと呼ばれたドアが開き始めた・・
ドアの向こうにはネズミが待っており
「しっかり閉めて
ついてこい」
と先に階段を上がってきました・・
巨木の中は天からの自然光がうまく取り込まれていて
外部からは巨木にしか見えないが
中は大きな木のビルのような構造になっており
木の階段をあがっていくと途中に大きな扉があった
「おれの名前はマローンだ
おまえはモンキチと言ったな
小さいからって
バカにすんなよ?」
「マローンさんありがとうございます」
マローンの部屋はマザーの巨木の
およそ中間層の階にあった
小さなドアと
その小さなドアがついた大きなドアと
その大きなドアがついた特大に大きなドアが
部屋の入り口として1つあった
ネズミのサイズのマローンは
当然小さなドアを使う
もんきちの場合は
特大に大きなドアは力がなく開けれず
かといってネズミのサイズのドアでは
入れないのであc
大きなドアを開けて部屋に入った
「あいにく椅子は
ネズミサイズのやつしかなくてな
その辺に座ってくれ」
モンキチはお辞儀をして
ころ合いのスペースに腰かけた
「それで?
いくところがないなら
しばらくここに居ればいい」
マローンにしてみれば
もんきちはお客さんでしかなく
数日いたらまた出て行くと思っていた
「僕は元の世界に帰りたいんです
“帰る方法をマザーさんに聞け”
とジャブーさんに言われたので
どうすればいいのかを聞いたら
一刻も早く出発するつもりです」
「君も別の世界から
こっちの世界に来たか
そして帰りたいんだな・・」
そう言いながらマロンは
もんきちにドングリの実で作った渋茶を出した..
+登場人物
・モンキチ 小4の少年(9歳)
・マローン 巨木の住人(22歳)




