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第96話 陽気なサテュロス族 3

賑やかすぎるサテュロス族の村でしばらく休ませてもらうことにした一行

 日が傾き始めた頃、女が再び小屋へと姿を現した。


「調子はどうだい?あんたらエルフの森を抜けてきたみたいだけど、大丈夫だったみたいだな」

「いやそうでもないあの時、君の忠告を聞いておけば良かったと後悔してる」


 サテュロスの女はエレナーゼとセシリアに眼をやった。


「まあでも結果オーライって感じでしょ?なにがあったのかは知らないけど上手くいったみたいだね」

「エレナーゼのことは秘密にしてくれよ」


 そう言うと女は笑った。


「ハハハ、わーかってるよ私たちもエルフは敵に回したくないからな、よくワインを買ってくれるんだ。そうだ一杯どうだ?あんたの調子の悪い仲間も一杯飲めば元気になるってもんよ」


「兄さん名前は?私はカルベネッサ、カルベネでいい」


 俺は自分とみんなの名前を一通り教えた。


「そうかアリスガワ、変わった名前だなまあこれもなにかの縁てもんよ。よろしく兄さん」


 カルベネはこちらへ手を差し出した。俺が握り返そうとするとひょいと避け、どんと肩を小突かれた。


「へへ、まあついて来なようちの自慢の酒蔵をご紹介するぜ」


 俺は寝ているみんなを残し彼女の後に続いた。


 カルベネの言うとおり地下に作られた酒蔵は立派なものでいくつものワインが壁に収納されている。


「へえーこんなものがあるのかすごいな。この村はワイン作りで有名なのか?」

「まあそうだな、ワインの名家と言えばサテュロス族、サテュロスといえばワイン。私たちの血にはワインが流れている。昔神様はご先祖に自身の血を真似たワインの造り方を教えたのさ」


 彼女の話によると家ごとにこうした酒蔵があるようだ。


「ここには王国に献上しているものまである、うちも結構すごいんだ特別に見せてやるよ」


 そういうとどんどんと奥へ進んでいく。光の届かない蔵の奥はわずかなランタンの明かりで照らされている。


「ほらここさ、これ一本で金貨百枚はくだらない、ぞ……」


 今までおしゃべりだったカルベネが急に黙り込んだ。ランタンの明かりが小刻みに震えている。


「あ、あれ、ない……ここにあるはずなのに、ないぞ、わ、ワインがない!」


 ランタンに照らされた壁にはぽっかりと穴が開いているだけでボトルの存在は確認できない。他にも調べたが壁一面分がなくなっていた。


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