第91話 華麗な狩人、ファーン族 3
ファーン族の青年、エルデンと共に森を進む一行
その後の話で彼は普段は狩人をしているということがわかった。見た目的に草食のようだが肉は大好きだそうだ。
俺たちは再び静かな森の中を歩き出した。相変わらずセシリアは仲間と口を利くことも無くただ黙々と歩き続けている。木々の間からは朝日が柔らかく差し込み、草についた朝露がきらきらと光っている。日が昇っても重なり合う葉のおかげで適度な涼しさを保っている。
だがそんな穏やかなハイキングは突如として終わりを告げた。突然エルデンがその場に立ち止まり辺りを警戒し始めたのだ。弓を肩からはずし矢を構える。シャリンも何かに気づいたようでそっと短剣を抜いた。
「どうした?なにかいるのか?」
俺がそう声をかけた時、横の草むらから大きな犬が二匹飛び出してきた。犬たちは俺たちを見るとけたたましく吠え出した。すかさずエルデンが矢を射る。のどを貫かれた二匹は苦しそうな声を上げその場でのた打ち回っている。彼はそれに手早く止めを刺した。
「今のは一体……」
「狩猟犬だ、今ので場所がばれた。近くに狩人がいる」
狩人という言葉を聞いて一瞬震えたがよく考えると俺たちは獲物の鹿ではない。それどころか相棒の犬を殺してしまった。
「犬のこと謝らないとな」
俺がそうつぶやいたとき、草むらを掻き分け二人の男が現れた。彼らはこちらを確認するとにやりと笑った。
「ハハァ!ようやく見つけたぞあのときのスフィンクスだ、もう逃がさねえからな」