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第89話 華麗な狩人、ファーン族 1

エルフ族の少女、セシリアを仲間に加えた

 俺たちはエルフ族の村を後にし、新しく仲間に加わったセシリアのあとを歩いていた。依然として彼女はこちらを一瞥(いちべつ)もせずどんどんと進んでいく。


「みんな調子はどうだ?怪我したところは痛くないか?」


 俺の問いかけにピヨは笑って平気だよと答えた。フィリアナやシャリンも言うまでも無く元気だ。切れてしまったマントもポリーンがきれいに直してくれた。


「裁縫得意なんだな」

「ふふ、この服も自分で作ったんです。もとは一枚の布でした」


 俺が褒めるとポリーンは嬉しそうに目を細めた。


「ニーナさんはお裁縫、なんだか苦手そうですね」


 フィリアナの言葉にニーナは私だってできると否定した。確かに苦手そうだ。


「うまくできなくてわーってなってそう」


 ピヨの発言にみんな笑った。当の本人は不服そうだが心当たりがあるのか否定はしなかった。そんな話をしながら歩いていると突然頭上から声が聞こえた。


「そこの者ども止まれ!」


 声のほうに目をやると木の上で誰かが弓を構えている。しかも一人だけではない。木の陰や草むらにも隠れている。俺たちはいつのまにか取り囲まれていた。木の上にいた青年はスッと音も無く地面に降り立つとこちらへ近づいてきた。それに合わせ俺たちも剣を抜き警戒する。


 青年は以前会ったサテュロスのように上半身は人間だが、短い毛皮に覆われすらりとした鹿のような足をしている。体も細身で全体的にモデルのようなスレンダーな体型だ。


「お前たちここで何をしている」


 セシリアが俺たちの前へでると半獣の青年はあわてて矢をしまった。


「すみませんまさかエルフ族の仲間だったとは」


 周囲を取り囲んでいた他の仲間も集まってきて頭を下げた。


「フン、あなたたちの目は節穴なの?」


 セシリアはあごを上げるとそのまま先へと歩き出す。彼女が通った後で後ろのほうから舌打ちが聞こえた。


「すいませんちょっと通してもらいますね」

「いえこちらこそスフィンクスもいたなんて、大変失礼いたしました」


 彼は再び頭を下げた。


「この森を抜けられるのでしたらぜひ自分が案内しましょう」


 そう言うと青年は他の仲間を返し、ついて来てくれた。


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