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第88話 聖なるエルフ族 2

エレナーゼを連れ再びエルフ族の森を目指す一行

 ロンドーラルに連れて来られた少女はまだ幼く、背丈はピヨほどしかない。髪は金髪で肩まで伸ばしている。


 「この子の名前はセシリア、このとおりまだ幼いが腕は確かだ。きっと力になってくれる。本当は自分たちが行くべきなのだがそうもいかなくてな」


 突然のことにフィヨルドは焦ったような表情を浮かべる。


「な、なにをおっしゃっているのですか!彼女はまだ十分ではありません、それにこんな者たちと一緒に行くなど」

「いやいや、かわいい子には旅をさせろと昔から言うだろ?それにダークエルフの問題となれば黙って見過ごすわけにもいくまい。セシリア調査を頼んでもよいか?」


 セシリアはただはい、と一言だけ返事をした。だがその幼さが残る瞳でこちらをキッと睨んでいる。俺たちを敵視しているかのようだ。


「ではまかせたぞ、くれぐれも無理はしないように」

「はいわかりましたロンドーラル様」


 彼女は淡々と返事を返すとすたすたと歩き出した。俺たちは仕方なく彼女の後ろへと続いた。背後では二人が話し合っている声が聞こえる。


 村には整った質素な造りの木の家が立ち並び、皆静かに仕事に励んでいる。セシリアは相変わらずこちらの姿も確認しようとせず歩き続けている。


「なあ俺亜李須川(ありすがわ) 弘明(ひろあき)って言うんだ。こっちのハーピーがピオーネ、で猫の亜人がシャリン」

「私がピオーネ、みんなからピヨって呼ばれてるんだよ」


 話しかけても彼女はまるで俺たちなどいないかのように無視されてしまった。


「ちょっとあんた、さっきからなんなの?よろしく、ぐらい言ってもいいんじゃない?」


 セシリアの態度を見かねたニーナが詰め寄る。するとめんどくさそうに小さくため息をついてこちらを振り返った。


「あの先に行っておきますが私はおままごとをするためにここにいるのではありません。ロンドーラル様からの指令を遂行するためにいるんです」


 そう言うと彼女は再び歩き出した。後ろではニーナが怒りの声を上げている。戦力が増えるに越したことはないが、こうも気難しいとこの先が思いやられる。


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