第85話 魔法の基礎 2
魔法について学ぶ亜李須川とピヨ
エレナーゼは持っていたチョーカーをピヨにつけた。
「これはその魔力石でつくられたアクセサリー、魔導師はみんなこういうものをつけるの」
「へえーそういえばなんかでかい杖とか持ってるイメージだよな」
俺の言葉に彼女はクスリと笑った。
「あれは大きな石を支えるために長くしているの。機動力をとるか力をとるかそれによって杖もかわってくるわ」
「なあ魔法使うときってさどんな感じなのかな、こう火が出ろ!って感じ?」
エレナーゼはまた笑うと積み上げられた本の山から片手サイズの小さなものを取り出した。
「ふふ、魔法はイメージだけではできないわよ。もちろん大切よ、想像できなければ作り出せないのと同じ。だけどきちんと手順を踏まなくっちゃ。まあ中にはそんな神業ができる天才もごく稀にいるみたいだけど」
手渡された本には先ほどのマナについての説明や技の出し方が図解で記してある。体の動きはまるで武術の型のようだ。
「それが基礎の本、読んでみて。書いてある方法はさまざまで本ごとに違ったりするけどね。要は先人たちが自分で見つけたいい方法が書いてあるの、参考にはなるでしょ」
ぱらぱらとめくってみるが思った以上に難しそうだ。
「ねーピヨ、エレナの魔法みたいなー」
「そうねいいよ、ついてきて」
ピヨの願いで俺たちは少し離れた空き地に案内された。
「ちょっと離れててね危ないから」
言われたとおり距離を離して見ていると彼女は頭を低くした。すると背中の辺りから三つほど火の塊が飛び出したかと思うと、それは弧を描き地面に着地した。そこからボンという音とともに火柱があがる。
風に乗って流れてくる熱風にそれが現実であることに気づかされる。
「わ、わあーかっこいいピヨもそれやりたいよー」
「みんなそんな簡単にできるのか?」
俺の質問にエレナーゼは首を振った。
「すぐには無理よ、これだって結構練習したんだから。それに私たちは生まれつき魔力が多い種族なの」
「そうかなんだか難しそうだな」
諦めかけている俺とは対照的に、ピヨはやる気満々だ。
「じゃあその本、一から読まないとな」
俺の言葉にピヨは首を傾げた。
「うーんピヨ文字読めないんだよね」