第84話 魔法の基礎 1
スフィンクスの女王の好奇心に付き合った亜李須川
好奇心旺盛なスフィンクスの女王にいろいろ詮索された後、俺はエレナーゼの家に戻った。
「あらおかえりなさい、ずいぶん大変そうだったけど」
「まったく誰も助けてくれないんだから、まあシャリンはいなくて良かったな」
とりあえず女王には気に入ってもらえたようでなによりだ。
「ところでさ、あの治癒魔法っていうのすごいな。あれはどうやったらできるんだ?俺にもできたりするのか?」
少し前に治癒士にかけてもらった魔法のおかげで痕は残っているが痛みは全くといって良いほどなくなった。もしこれが使えればこの先もかなり楽になるだろう。
「うーんそうねえ確かあなたは違う世界から来たのよね。そこの世界に魔法はなかったの?」
「ないな、空想の世界の話だと思っていたよ」
そこへピヨが俺たちの話を聞き自分もやりたいと言って来た。
「ピヨも魔法使いたい!だって使えたらすごく強くなってピヨもみんなのお手伝いできるようになるでしょ」
するとエレナーゼは俺たちを裏側の小さな小屋へ案内した。物置のようで中には本が積み上げられ、さまざまな道具が散乱している。
「まず魔法を使うには魔力が必要なの、これが一番の動力源になるわ。それからマナ、聞いたことある?」
俺とピヨは首を横に振った。
「マナっていうのはねこの大気中に散らばっている属性の素のようなもの。たとえば火の魔法を使いたければ火のマナが必要になる。魔力というのはその人が持っているエネルギーでそれにマナを混ぜることによって属性のある魔法が生まれるの」
「じゃあそのマナっていうのが無かったら?」
「無属性の魔法になるわ」
俺の質問にエレナーゼはさらっと答えた。
「魔力の量は生まれつきや種族によって変わってくる。それに得意な属性もね。でも大抵始めはみんな少ないからこれを使うの」
そういうと彼女は机の上に置かれた箱にかかっていた布を取った。箱はガラス張りで中には大きな宝石が入っている。ごつごつとした宝石はわずかに輝いて見える。
「これは魔力石、その名のとおり魔力がこめられている石なの。いろいろ種類はあるけどとりあえずこれに触れてみて」
ピヨは一歩前へでるとガラスを開け横から石に触れた。
「どうだ?なにか感じるか?」
「うーんちょっと温かいような」
ためしに俺も触ってみたが確かに特に何も感じない。
「この石の魔力を使って始めは魔法の練習をする。するとだんだん使えるようになってきて自分自身の魔力を増やせるってわけ」
するとエレナーゼは奥のほうから大きな宝石のついたチョーカーを取り出した。