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第82話 知の聖獣、スフィンクス族 5

治癒士により傷の治療をしてもらった亜李須川

 エレナーゼの家へと帰るとニーナ以外の全員はすでに眠りについていた。俺は起こさないように間を縫って横になった。


 次の朝、俺たちはエレナーゼに朝食をごちそうしてもらい近くの温泉で体を洗った。傷はだいぶ塞がり痛みもほとんどない。治癒士のおかげで疲れもすっかり取れ生まれ変わったようだ。


 肩のところが切れてしまったマントはポリーンが縫ってくれている。


 他のスフィンクスたちも起き始めたため俺たちは再びテントの中に身を隠した。


「このままじゃだめね、しょうがないついてきて」


 俺とシャリンは言われるままエレナーゼについていった。


 人目につかないよう村の中を進むとひときわ立派な建物へ案内された。入り口はがたいの良いスフィンクスたちに守られている。彼女は俺たちを置いて先に行くと門番に話しかけた。


 入ることを許されたのかこちらに手招きしている。通り過ぎる間、門番たちはこちらを下からじっと睨んでいた。


 内部は美しい織物や装飾品で飾られ中央には金を身にまとった一体の女のスフィンクスが優雅に横たわっている。エレナーゼは深々と頭を下げお辞儀をする。態度から見るにこの村の村長だろうか。


 彼女は俺たちは外部のものだが自分の命を救ってもらったので、しばらく滞在させてもらうようお願いした。


 目の前の上級なスフィンクスはこちらをゆっくりと観察すると気だるそうに口を開いた。


「ふ~ん、あなたたち冒険者?人間と亜人みたいね。他に仲間は、いるみたいだけど」

「俺たちは旅人です、エルフの森に知らずに入ってしまって。その先の町に行こうとしていたのですが」


 俺の話を聞いてまた気だるそうに首を傾げた。


「そうなのでもタダでとは行かないわね。なにか面白い話でもしてよあなたたち外から来たんでしょ?」


 知識の聖獣というだけあり、やはり新しい情報を対価として求めるのか。俺は望みどおり自分がこの世界に来た経路について話をした。


 始めはまた作り話かと言うようにつまらなそうに聞いていたがしばらくして俺の話に興味を持ち始め、最後は楽しそうに耳を傾けていた。


「え?それで今ここにいるの?もっと話の続きを聞きたいわ。ああでも今物語の途中なのよね、そういえばあなたの仲間は?どこにいるの連れて来てよ。」


 彼女は立ち上がりぐっとこちらに身を乗り出した。横からするりと護衛のスフィンクスが間に立ちふさがる。


 護衛は俺に武器を置くよう指示してきたのでは言うとおりに短剣を地面に下ろした。相手はこちらをじろりと確認するとまた後ろのほうへ戻っていった。


「そうだわ私の名前はリサナール、この村の女王よ。あなたは?」


 俺は尋ねられたとおり自分の名を名乗り、シャリンの紹介もした。


「これが俺の今までの話です、どうですか満足しましたか」


 すると女王は楽しそうに首を傾げた。


「うーんそうねぇ、いやまだよ。あなたのことをもっと知りたいわ」

 

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