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第75話 エルフ族の森 3

戦力で上回るエルフ族に圧倒される一行

 翼を貫かれたピヨはそのまま地面へと落下した。


 目の前のエルフの男は今度こそ止めを刺そうと剣を両手で持ち直し振り上げる。


 このままでは俺だけではなくシャリンやニーナたちまで殺されてしまう。俺は死を覚悟でその場から立ち上がった。


「おい、さっきもうここから離れると言っただろ。なぜ必要以上に攻撃するんだ」


 すると男は少し剣を下ろした。


「お前たちのような害虫は情けをかけるだけ無駄だからだ。どうせ逃がしてもすぐまた大勢で来る」

「でも冒険者はここには近寄らないんだろ?俺たちは旅人だ、知らなかっただけなんだ」


 俺の言葉に男は無表情のままだ。まるで言葉の通じない動物を見ているかのような目でこちらを見ている。


「剣も振れない人間の男に半獣の女ばかりのよくわからないパーティなどこの先どこに行こうが結果は同じだ。汚らわしい」


 男の話を俺は鼻で笑った。こちらの態度の変化に男は眉を片方つりあげた。


「そうかよ、エルフ族っていうのは高貴で清らかな種族だと思ってたがまさか虫を潰して遊ぶのが趣味だったなんてな」


 俺は間髪入れずに話を続けた。


「これじゃまるで道端で遊んでるガキみたいだな。なんだっけ、ライオンはうさぎ相手でも全力だとかいう考えなのか?」


「でもそれじゃああんたたちはライオンと同じ獣ということなのか?これじゃまだ半獣のほうがましだな」


 こちらの安い挑発に腹を立てたのか相手は目の下をピクピクと引きつらせ剣を強く握りなおした。


「言わせておけばこの人間ふぜいが調子に乗りやがって!」

「その人間ふぜいの挑発に乗っているのはあんただろ。一度冷静になろう」


 俺は改めて彼に許しを請うことにした。


「ここでこうして俺たちと戦うことは無駄だ。俺も仲間を失いあんたもプライドが傷つく。俺たちみたいな下等生物に全力をだして攻撃してきたことは今後一切口にしない、それでどうだ?」


 仲間を卑下するのは心苦しいが今は仕方がない。


 するとエルフの男はため息をつき不本意だというように剣を鞘に収めた。その後乗ってきた馬に跨ると来た道を引き返していった。


 それに続き他のエルフたちも森の中へと消えていった。


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