第67話 狂気の宴、ラミア族 4
シャリンたちが助けに入るも逆に囲まれてしまった
三人を助けに行こうにも俺とシャリンもあっという間に取り囲まれてしまった。背を合わせ今にも飛び掛ってきそうなナーガの女たちにそなえる。向こうもこちらの隙をうかがっているようだ。
一体のナーガが俺の横から飛び出してきた。それを皮切りにほかの女たちも一斉に攻撃を仕掛けてくる。
俺は最初の一体に剣を突きつけた。すんでのところで相手はひらりと身を翻す。
攻撃をかわされバランスを崩したところに乱暴につかみかかられた。あっという間に取り押さえられ地面へと押し込まれる。俺は顔を引っかかれないよう伸びてくる手を押さえるのに精一杯だ。
覆いかぶさってくるナーガたちの隙間からシャリンの姿が見えた。彼女は襟首をつかまれ高く持ちあげられている。このまま地面にたたきつけるつもりのようだ。
だが起き上がろうにも両腕をそれぞれ捕まれ、足も重たい尾にのしかかられ動けない。
そのとき草むらから音も無く男が現れシャリンを持ち上げていたナーガの腕を切りつけた。切りつけられたほうはシャリンを投げ出し悲鳴を上げている。
その後、覆いかぶさっていた女を引き剥がし俺の腕を取り引き上げてくれた。
こちらが礼を言う前に男は流れるような動きで攻撃をかわし、最低限の攻撃で女の群れを散らしていく。
突然の援護に女たちは悔しそうな声を上げ散り散りになり森の中へと消えていった。
俺はそばに落ちていた松明を拾い上げ辺りを照らした。男も同じナーガ族で俺より一回り年上に見える。目じりのしわにまばらに生えている無精ひげは西部劇にでてくるカウボーイのような男らしさを感じさせる。
「ありがとう助かったよ」
俺が礼を言うと男は両手に持っていた剣をそれぞれ鞘にしまい、苦笑いを浮かべた。
「ははは、危ないところだったな。あんたたち冒険者か、夜の森を探検とはなかなか上級者のようだな」
男に自分たちは旅人であり、近くにキャンプがあることを伝えた。
「そうかならとりあえず荷物を取りに行こう、盗賊にとられたら困るからな」
俺たちはナーガの男をつれキャンプへと戻ることにした。