第66話 狂気の宴、ラミア族 3
狂ったナーガの女たちにさらわれ拘束されてしまった亜李須川
狂ったナーガの女の機嫌を損ねた俺は足まで木にくくりつけられてしまった。腰の短剣に手を伸ばすことはできるが体が拘束されており、縄を切ることは難しい。
「ハアァイキノイイオトコダ、ハハハ」
先ほどの女は舌を覗かせ笑うと再びこちらに近づいてきた。そしてスボンに手をかける。回りのナーガたちのテンションも上がり、持っている松明を振り回しながらけたたましくわめいている。
「ツギハワタシダ!」
「ウルサイ、ワタシガサキダ」
誰が次に俺で遊ぶか喧嘩が始まるほどだ。さながら狂気的なパーティのようだ。
ああ、最悪だ……助けに来て欲しいが今来られても嫌だな。俺はいろいろとあきらめ全身の力を抜いた。
「ナンダコイツ、フヌケジャナイカ。シカタナイ、トッテオキノクスリヲツカウカ」
「ワタシニナメサセロ」
「チョットアジミスルダケダ」
この期に及んでまさかそう来るとは。そのとき後ろのほうから良く知る声が聞こえてきた。
「アリスガワ、大丈夫か?!」
突然の奇襲にナーガの女たちは奇声を上げ混乱している。そこへシャリンを先頭にニーナとフィリアナが飛び込んできた。
「よかった無事みたいだ、な……」
シャリンは俺の姿を確認すると顔を赤らめ目をそらした。
「あ、悪い、えっとよければ縄を切ってくれるとうれしいんだが」
「そ、そうだよな今切るぞ」
彼女は俺の前まで来るとどきまぎしながら縄を切ろうとする。
「その、そうだこうしようこれでどうだ?」
シャリンは自分が付けていた青いスカーフを俺の腰に巻いた。
「あ、ああ、ありがとう」
微妙な空気の中俺は無事救出された。すばやくズボンをはき剣を抜く。このスカーフは洗って返そう。
宴を邪魔されたナーガたちはたまったものじゃないと怒り狂っている。
「ヒロさんよかったでもちょっと厳しいです、ああっ」
数体の女がフィリアナに飛び掛る。ニーナも囲まれてしまっている。そこへ心配になったのかピヨとポリーン、ローレンが駆けつけた。
だがそれは逆効果で三人もナーガたちに包囲されてしまった。