第65話 狂気の宴、ラミア族 2
用を足している間に何者かにさらわれてしまった亜李須川
「いっ一体なんだ?!みんな……!」
俺は叫ぼうとしたがそれよりもすばやく草むらへ引き込まれてしまった。
木の枝や鋭い葉が体中にあたり痛い。自分の顔を覆っているのに必死だ。俺はなすすべなく暗い森の中を引きずり回された。
ようやく止まったかと思えば長い指に乱暴につかまれ太い木へとくくりつけられてしまった。相手の顔を見ようとも暗すぎて全然わからない。
「おい!なにするんだ止めろよ!」
足をばたつかせているとようやく回りに明かりが灯った。
そこには数名のナーガ族の女が立っていた。だが様子がおかしい。目を見開きまるでえさを目の前にした空腹の動物のようだ。
「あの、なにか用ですか……できればこれ解いてほしいんだけど」
答えは返ってこない。というより聞いていないみたいだ。
「ヴヴヴ……ワカイオトコ、テニイレタ」
そのうち一人がぶつぶつとつぶやきながら俺のほうへ寄ってきた。よく見ると腕の先にも鱗が生え、鋭い爪がついている。
「オマエハアトダ!」
近寄ってきた女は年上に見える別のナーガ族にはらわれてしまった。若いほうは不服そうに後ろへと下がる。
すると年上のナーガは俺のほうへと近寄ると上機嫌そうに口を開け首筋の臭いを嗅ぎだした。生暖かい息に鳥肌が立つ。
「なっなあちょっと話し合わないか?これはなにかの間違いだと思うんだけど、俺なにかしましたっけ?」
こちらの言葉などおかまい無しに鋭い爪の生えた指で体を撫でられた。肩から胸、それはだんだん降りていき腰、脚の間へと回る。
とてつもなく嫌な予感がする。すると突然冷たい長い指で股間を鷲掴みにされた。あまりの気持ち悪さに思わず足で蹴飛ばした。
蹴られたナーガの女は歯をむき出しにして怒ると俺をよりきつく縛るよう命じた。