第64話 狂気の宴、ラミア族 1
ポリーンに思いがけないサービスをしてもらった亜李須川
昨日の事故により危うく俺は変態だと勘違いされるところだった。
なんとか疑惑を晴らし引き続き港町へ歩みを進めることにした。
「あ、あななたちはどこに向かっているの?」
ローレンの質問にフィリアナが地図を見せて答える。
「わたくしたちはここの町に向かっています、船を借りて向こうの大陸に行く予定です」
「そうなのじ、じゃあ森をぬけなきゃ、ね」
アラクネ族の村を出るとすぐまた不気味な森に戻ってしまった。ということは来るときに出会ったあの恐竜みたいな獣がうようよしているということなのだろうか。
「なあシャリンまたあの手が鉈になってる恐竜がでてきたらどうしよう」
「む、デスハチェットのことか、どうだろうな。こちらが大勢だから襲ってこないと思うが」
要するにくまと同じようなものか。
「だ、大丈夫よ、あいつらは縄張りに爪あとをの、残すの。それにワンアイガルルガは群れで行動していて、鳴き声がき、聞こえるのよ」
俺はローレンの言葉にうなずきながら近くの木を見た。そこには横一線に大きな後がついていた。
「え、こ、これは……」
皆俺のことなど無視してどんどん進んでいってしまった。
「でもあんたどうやってこの二頭を倒したのよ」
「ふ、ふふ、毒のえさをまいたの……」
その言葉にニーナはローレンから距離をとった。
俺たちはその後しばらく進み続けた。昼間の時点ですでに暗かった森は気温もぐっと下がりより不気味で冷たい。少し開けた場所で夜を明かすことにした。
シャリンが周りの木を集め火をつける。暖かいオレンジ色に皆心なしかほっとしたような表情を浮かべる。
「私が見張りをしよう。悪いが途中でだれか交代してもらえないか?」
「じゃああたしがやるよ、時間になったら起こしてね」
ニーナが見張りの交代を申し出たところで昼間購入した食料を各自取り出した。皆口々に会話をしながら静かな夜を過ごしている。
ここで俺は用を足すため席を立った。まあトイレなんてないのでそこらへんの草むらだが。
俺はこちらから火を囲っている皆が見える位置へ行き木の影に隠れた。向こうからは……見えていないだろう。
ベルトに手をかけズボンを下ろそうとしたとき何者かが俺を闇の中へ引きずり込んだ。