第50話 飛べないハニービー 5
ハニービーの天敵、キラービーと戦い無事追い払うことができた
かくして俺たちはハネナシの仲間を助けることができた。
「あ、ありがとう冒険者」
「たすかった、たすかった」
皆口々にお礼を言っている。まさかいつも敵として対峙している冒険者が味方になってくれると思っていなかったようで少々困惑している。
「まさかハネナシが役にたつとは思わなかったぞ」
「お前が来るなんてな」
ハネナシは仲間に称賛されているが複雑そうな顔をしている。
その後再び案内の続きをしてもらった。
「私たちの縄張りはここまでです。助けていただきありがとうございました」
彼女は深々とお辞儀をした。
「いやこちらこそありがとう、おかげで道に迷わずにすんだよ」
「なーにがこちらこそよ、逃げてたくせに」
「くっ、ニーナ見てたのか」
三人は笑いをこらえている。どうやらばっちり見られてしまったようだ。
「しょうがないだろ俺戦ったこととかないんだから!」
「うふふ、いいんですよヒロさんはヒロさんのままで。それに的確な指示をしてくれたじゃないですか」
フィリアナは母のように俺の頭をなでた。余計に恥ずかしい。
「ではハネナシ元気でな」
シャリンは片手を挙げその場を去ろうとしたときハネナシが小さな声で答えた。
「私もみなさんみたいに強くなれたら良いのに」
「心配ないよハネナシも十分勇敢だよ」
ピヨがハネナシの手を握った。だが彼女はうつむいたまま続けた。
「いえ、私は仲間が危ないってわかってたのに見殺しにしようとしてしまった。飛べない自分は弱いからって言い訳して、今までだってずっとそうだった」
「ヒロアキさんは戦いが苦手なのに自分から飛び込んでいったじゃないですか」
顔を上げ俺のほうを黒くて大きな瞳でまっすぐみつめてきた。