第49話 飛べないハニービー 4
キラービーに襲われているハネナシの仲間の救出に向かった
まずニーナとフィリアナが先陣を切って襲い掛かる。
奇襲に驚いている隙にやってしまおう、そう思ったそのときわずらわしい羽音を立てもう一体キラービーが空から姿を現した。
「ちょっ、もう一体なんて聞いて無いわよ!」
ハニービーのように仲間を呼ぶことができるのだろうか。
敵が増えたことと知らない人が突然草むらからでてきたことにハネナシの仲間たちは困惑している。
「仕方ない、ニーナとシャリン、フィリアナは今いるほうを相手してくれ。俺とピヨは新しく来たほうをやる」
俺の言葉に三人はうなずいた。
「尾の先に気をつけてください!強力な毒を持っています」
遠くからハネナシの叫ぶ声が聞こえた。確かにキラービーは尾の先から長い針を出し、三人に突き立てようと蠍のように構えている。
とりあえず指示は出したものの正直俺には勝算はない、時間稼ぎができるかどうかだ。
ふと地面に目をやるとハニービーが使っていた槍が折れて落ちているのが目に入った。
「ピヨ、これをあいつの羽に突き刺せるか?」
「やってみる!」
俺は折れた槍をピヨに手渡した。そんなことをしているうちに空から様子を伺っていたキラービーがこちらに向かって降りてきた。
鋭い爪で俺につかみかかろうとする。こ、こういうときはタイミングを合わせて剣で反撃すれば……。
なんてこと危なすぎてできるわけない!俺は捕まらないよう背を向けて逃げ出した。
そのとき背後でキラービーの叫び声が聞こえた。振り返って見ると先ほど手渡した折れた槍が薄い翅に突き刺さっている。
バランスを崩した体に仲間のハニービーたちが一斉に飛び掛かる。そのまま数体に囲まれ地面に押し倒された。さすがの巨体も数には勝てないようだ。
「ピヨ、助かった、ありがとう」
「へへ、やったー」
もう一体の方も三人相手に苦戦している。やがて傷つき、勝てないことがわかったのか三人を振り切り空へと飛んで行った。翅を貫かれたほうもその様子を見てすごすごと森の中へと消えていった。