第48話 飛べないハニービー 3
人型昆虫族のハネナシと出会った皆
さきほどハネナシは仲間が呼べないと言ったがどういうことだろうか。
「わ、私たちは翅を羽ばたかせて匂いを仲間に送るんです。でも私はこのとおり生まれつき羽が短いのでできないのです」
彼女の言うとおり背中の翅は羽ばたくには短すぎるように感じる。
「ね?危険じゃないでしょ」
「まあ、それならば……」
ピヨの言葉にフィリアナは剣を柄に戻した。
「みなさんはなにをしているんですか?」
「私たちは旅をしている、それぞれの目的のために」
ハネナシの疑問にシャリンが答える。
「そう、ですか。では私たちの縄張りの外まで案内しますね」
俺たちは彼女について森の中を歩き出した。すると突然雷に打たれたように立ち止まった。
ピヨが心配そうに顔を覗き込む。
「た、大変、仲間が襲われています!」
「仲間?襲われてるの、どこどこ」
周囲を見渡しても特に変化は無い。これが先ほど言っていた匂いというやつなのか?
「みなさん危ないのでちょっと遠回りをしましょう」
「え?いいのですか?仲間を助けに行かなくても」
フィリアナの言葉にハネナシは困ったような表情を浮かべた。
「でも危険ですよ?なにがいるのかわからないし」
「友達が襲われてるんでしょ、助けなきゃ!」
ピヨの発言に俺たちは進路を変えハネナシの仲間が襲われているところへ向かった。
たどり着いた先にはハネナシと同じ姿をしたハニービー数体が、それよりも一回り以上大きい固体一体を囲んでいる。色と体の形はハニービーと似ているがよりとげとげしく、凶暴さが見てとれる。
「私たちはあれをキラービーと呼んでいます。名前のとおり恐ろしい存在で私たちの仲間をさらったり、人に襲い掛かったりする好戦的な種族です」
力の差は歴然で槍を手に必死に抵抗しているが、すでに何体かはやられてしまっている。
「ね?恐ろしいでしょう。とても私がかなう相手ではないんです」
「でも助けなきゃ!ねえヒロもそう思うでしょ」
確かに一体ならどうにかできるかもしれない、俺たちは武器を取りキラービーへと襲い掛かった。