第47話 飛べないハニービー 2
町を出た矢先、ピヨがハネナシという新しいタイプの人外と出会った
ピヨに紹介されたハネナシという女の子?は人ではないのはわかるが俺が今までに出会ってきたタイプとは違う。簡単に説明するならば蜂をそのまま擬人化したような感じだ。
大きさはピヨと同じか少し小さいぐらい、表面はつるつるとした甲殻に覆われ脚や腕にはトゲが生えている。人らしく髪はあるが頭からは触覚が生え、目はほとんど白目がなく大きくて黒い。尻からは長い尾が伸びている。
ハネナシは俺の姿を見ると驚いたように少し後ろに下がった。
「大丈夫だよ、ヒロはいい人だから」
「そ、その俺は亜李須川 弘明よろしくな」
なにを言っているんだ俺は……。なんと反応して良いかわからずとりあえず自分の名前を言ってしまった。
そのとき俺が帰ってこないのを心配したのか他の三人も近づいてきた。
「はっヒロさんそいつから離れてください!」
フィリアナが突然叫び剣に手を掛けた。
その声におびえハネナシはさらに俺たちから離れていく。
「そんなにやばいのか、見たところそうでもなさそうだけど」
この状況ではいじめているのは俺たちのほうに見える。
「その子は人型昆虫族、私たちはハニービーと呼んでいます。力はゴブリンやコボルトと同じぐらいですが仲間を呼ばれると大変です」
どうやらこのハニービーという種はここらへんを縄張りとしていて旅人にとって単体ではそこまで強敵というわけではなさそうだ。
「だめっいじめないで」
ピヨが翼を広げハネナシの前に立ちはだかる。その姿にフィリアナはしぶしぶ出しかけた剣を納めた。
「大丈夫だよ、みんな良い人だから」
続けて怯えているハネナシにそっと寄り添うように話しかけた。するとハネナシは小さな声で話し始めた。
「わ、私は、仲間を呼ぶことはできないんです」