第46話 飛べないハニービー 1
フィリアナの兄に別れを告げ次の目的地へと旅立った五人
「ところでフィリアナ、これからの行き先にあてはあるのか?」
シャリンの言葉にフィリアナはうなずき古びた地図を取り出した。
「あの後地下を調べたんです。この地図に彼らがどこから指令を受けたのかが記されています」
「うーむ、結構遠いんだな私もここまで行った事はない」
地図にはさまざまな記号や後から書かれた文字で埋め尽くされている。唯一わかったのは近くに大きな町があるということ、そしてそこに行くには海を渡っていかなければならないということだ。
「手前の町で船を借りていきましょう」
しかし歩いて行くとなるとこの港町までも当然距離があるのだろう。
「そういえばオークたちはどうなった?思ったより数がいなかったような気がしたが」
俺の疑問にシャリンが答える。
「おそらく私たちを追っ払った後ほとんどは解散したんだろう。要するにその場だけの雇われ兵だったというわけだ」
その後しばらく道なりに進んだ俺たちは昼食を取る事にした。やはり長時間の徒歩は慣れない、すでに疲れてしまっている。
俺より小柄なピヨがこんなにも元気にしているのがなんだか納得いかない、いや当然のことか。
そういえば姿が見えない、つい先ほどまでそこにいたというのに。他の三人に聞いても同じようなことを口にしている。
「まったくあいつは、ちょっと探してくる」
俺は森へと足を踏み入れピヨの名を呼んだ。しばらくして遠くの方でしゃがんでいる姿を発見した。どうやらだれかと話をしているようだ。
近寄って声をかける。
「おい、なにやってんだ勝手にいなくなるな」
「あーヒロ紹介するね、ハネナシだよ」
ピヨの視線の先には今まで見たことの無い種族、人の形をした虫が立っていた。