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第45話 新しい旅 4

新しい仲間を加えての旅立ちのために準備をする皆

 二、三日ほど休息を取り装備を整え再び集合した。俺は新しく買った服と貰ったマントをまといなんだかちょっと強くなった気分だ。


「アリスガワ、準備はいいか?」

「ああ、お前こそ欲しいものは買えたのか?」


 シャリンはあまり変わっていないようだ。一方ニーナはというと着てきた布の服ではなく上下しっかりとした革の防具を着用し、紫と黄の二色で染められたフード付きのケープとおそろいの腰巻を巻いている。


「なんだかおしゃれだな」

「ふん、当然よこれから旅をするのに丈夫な防具は必須でしょ」


 フィリアナも初めて会ったときとは違い、きれいに磨かれ端々に装飾の施された上質そうな鎧を身にまとっている。馬体は裾にレースのついた布で足元まで覆われている。


「そうだこれを使ってくれないか?」


 俺は領主に授かった長い剣を手渡した。


「え?私にですか?いえいえこれはヒロさんが使ってください」

「そうしたいところなんだけど見てのとおり俺にはとても使いこなせそうに無い。この短剣で十分だ」


 俺の言葉にフィリアナはしぶしぶ剣を受け取り、こんなにいいものをとつぶやいた。


 ピヨはというと……そのままだ。


「ちゃんと替えのパンツは買いました!」

「はいよくできました」


 俺はフィリアナに目線を戻した。


「本当にいいのか?」

「ええ、もう心に決めたことですから」


 静かにうなずくフィリアナに後ろから声が掛かる。声の方を見るとそこには同じケンタウロスの男の人が立っていた。


「兄さん……」


 あれが彼女の言っていた兄だろう。精悍な顔立ちに意思の強そうな目、鎧から覗く二の腕は戦士らしく鍛え上げられている。


「行くのか?フィリアナ」

「はい……ごめんなさい」


 少しうつむいた妹に優しく微笑みかけた。


「いや、いずれこのときが来ることはわかっていた。俺こそすまない、守ってやれなくて」


 口は微笑んでいるがその目はどこかむなしくどうしようもない悲しみを含んでいる。おそらく兄も妹の現状には気づいていたのだろう。


「ふふ、そんな悲しそうな顔をしないでくださいな。そうだこれを受け取ってください」


 そう言うとフィリアナは以前自分が使っていた剣を兄に差し出した。


「これは、お前の剣だろう?」

「そうですよ、私の分身をここに置いていきます。心配しないでください絶対に取りに帰ってきますから。そのときは私、兄さんより強くなってますから覚悟しておいてくださいね」


 妹の言葉に兄もつられ再び笑顔が戻り、そのお返しにと袋に入ったお金を手渡した。


「俺にできることはこれぐらいだ。つらくなったら帰って来い、お前の帰る場所はいつでもここにある」

「ありがとう兄さん、では行って参ります」


 二人が軽く抱擁を交わした後、俺たちは町を出た。


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