第43話 新しい旅 2
町を離れると言ったフィリアナに対し冷たくあたるニーナ
泣き崩れるフィリアナにニーナは冷たく反論する。
「そんなこと言ったって町の外より今の生活のほうが全然いいって言うわよ、飢えることも雨ざらしになることもないんだから。毎日ふかふかの寝床で安心して眠れるわよ」
「お、おいニーナちょっと言いすぎじゃないのか?」
さすがにかわいそうになりニーナをたしなめるが全く意に介していないようだ。シャリンはただ静かにこの会話が終わるのを待っている。
そこへピヨがフィリアナにそっと近づく。
「あのねピヨもニーナの言うとおりだと思うの」
意外な一言にフィリアナは顔を上げピヨを見る。
「だからね、この旅は新しい自分になる旅にしたらいいと思うの」
「新しい……自分?」
ピヨは笑い大きくうなずいた。
「そう、いやなことはいやってはっきり言えるような強い自分になる旅!」
フィリアナはピヨに助けられゆっくりと起き上がった。
「ふふ、そうですねそうします。兄さんより強くなってもうだれにも馬鹿にされないようになって帰ってきます」
「なあその旅俺も一緒に付いていっていいか?」
思いもよらないだろう俺からの一言に皆目を丸くしている。
「ここにいるのもいいけどやっぱりなにも解決しないと思ってさ、旅の途中でなにか見つかるかもしれないだろ?」
ここで一生を終わらせるのもいいがやはりもう一度自分の故郷の土を踏みたくなった。
「ピヨもいくー」
「そうだないろいろ旅をするのも悪くない、いい宝に出会えるかもしれないしな」
「ちょっあたしだけ帰るわけにはいかないわよね」
「みなさん、ありがとうございます」
俺たちの言葉にフィリアナは恥ずかしそうに微笑んだ。