第42話 新しい旅 1
地獄への扉を閉じなんとか騒動を納めた五人
再び平和を取り戻した町で俺たちは少し休むことにした。
貰った宝は俺とピヨ、シャリン、ニーナで分けた。俺は高価そうなマントと剣を受け取った。
「ところでアリスガワ、お前はこれからどうする?私はアジトも元通りになったし皆を呼び戻そうと思う」
「そうだな俺はしばらくこの町にいるよ、安全になったことだし最悪なにか仕事でも探すさ」
もしもとの世界に戻れなかったとしても生きていくことはできるだろう。もう友達や両親と会うことができないと思うと悲しいが仕方がない。
そういえば俺がいなくなった後どうなっただろう。時間の経過が同じだとしたら捜索届が出されているかもしれない。
「ピヨもお家に帰ろうと思うの、みんな心配してるだろうから」
「そうねあたしも戻るわ」
そんな話をしているところへフィリアナがやってきた。
「みなさんありがとうございました。わたくし大変失礼なことを言ってしまいましたね」
皆もう終わったことだから良いと口々に言う。
「それでお前はどうするんだ、ああそういえば、仕事があったな」
「わたくしは……ここを離れようと思います」
フィリアナは悲しそうな表情を浮かべ続けた。
「ここにはわたくしの居場所はありません。実はあのときの側近に専属の護衛にならないか以前からお誘いを受けていたのです。でも専属の護衛だなんて名ばかり……」
「あのあと地下を調べた際にいくつかダークエルフとのつながりを示す資料を見つけました。それに従い旅をしようと思います」
それを聞いていたニーナが口を開いた。
「結局逃げるためでしょ?大した覚悟もなしにあんたそんなんじゃ数日だってもたないわよ」
「そ、そんなこと」
「じゃあさあんた町の外どこまで出たことある?どうせ出て行ったってすぐ帰ってくんでしょ」
ニーナのきびしい言葉に不穏な空気が流れる。
「あっあなたにわたくしのなにがわかるっていうの?!小さなころからずっと頑張れば兄さんみたいな騎士になれると思ってた、でもそれは違う、わたくしがこうして仕事を続けられているのも兄さんの名前があるから」
「だれもわたくしの本当の姿など見てはくれない、男は下心ばかり、女に相談すれば自慢だと妬まれる。わたくしは男の慰みものになるために生まれてきたんじゃない!!」
フィリアナは涙声になりながら叫ぶように言い放った。