第40話 魅惑の悪魔、サキュバス 2
女の悪魔によって行く手を阻まれてしまった三人
「この悪魔はなんなんだ?」
俺はシャリンに目をやる。
「私も初めて見るがおそらくサキュバスだろう」
それなら俺も知っている。夜枕元に現れて男の精を吸っていく夢魔だ。変わりに牛乳を置いておくと襲われないとかいう噂もあったような気がする。
「悪いけどどいてくれるかしら、痛い目に合いたくないでしょ?」
目の前の悪魔に気をとられているうちに先ほどの老人が起き上がっていたようだ。
「イヒヒヒ、やったぞついに当たりだ!さあそいつらを始末しろ」
サキュバスは老人へ冷たい目を向けため息をついた。
「はぁ、なんなのこのジシイは?ふん、とりあえずあんたからよ」
女が手をかざすとそこからなにかエネルギーのようなものを放った。頭を揺さぶられるような衝撃を感じた後、脚から力が抜け立っていられなくなる。
先ほど感じた感覚と同じだ。隣の二人も俺と同様にうつろな目をしている。
どうにかしなければ、ここで俺たちは、終わってしまう……。
ふと眠気に抗い顔をあげると遠くの祭壇にだれかが近づいていっている。あのオレンジ色の羽は、ピヨか?
こちらに気をとられていた老人が祭壇の異変に気づき声を上げ止めに行く。
「な、なにをしている!だれかあの小娘を止めろ」
ピヨは祭壇の水晶玉に手を伸ばすとそれを高く持ち上げた。そして老人の努力もむなしく力いっぱい地面にたたきつけた。