第38話 原因の調査 5
ついに騒動の原因へとたどり着いた亜李須川と仲間たち
俺たちは悪魔の襲撃をかわしつつシャリンの言っていた奥の部屋を目指した。
扉は開け放たれており、そこからどんどん悪魔が沸いて出てきている。
「あっあれは……!」
大きな部屋の一番奥には祭壇が配置してありそれを中心に何名かのオークが壁際に並んでいる。祭壇の上は血で満たされ、置かれた水晶玉から溢れ出ているオーラはもう一つの世界をテレビのように鮮明に映し出している。
いや、テレビではない本当に向こう側に世界が広がっているのだ。そこから悪魔が顔をのぞかせこちら側へと体を乗り出している。
祭壇の横に立っている黒いフード付きのマントを頭から深く被った老人がこちらに気づいた。
「ヒヘヘやっと来たか、だがもう遅い地獄への門は開かれた」
なんのために地獄への門を開いているのかはわからないがこれは一刻も早く止めなくてはならない。
「おい、お前らあの邪魔者どもを始末しろ」
命令を受けたオークはこちらに向かってきた。シャリン、ニーナ、フィリアナの三人と後ろについていた衛兵は剣を抜き戦う姿勢をとる。
「ふん、邪悪の手先めこの刃の餌食となるがいい……」
「あんたなんか言った?」
「い、いやなにも」
シャリンの独り言を無視し皆オークたちに向かっていく。
俺も戦わなくては。そう思いハーピー族の村を出るときに護身用に荷物と一緒にもらった短剣に手をかける。だが一体どうやって?今までろくに喧嘩すらしてこなかった俺がどうやって戦うんだ?
このまま無理に突っ込んでいっても邪魔になるどころか返り討ちに合い命の危険すらある。
そうだ、祭壇の上に飾られている水晶玉だ、そこから出ているオーラが地獄への扉に力を与えているのならばそれを取り除けばいい。
俺は喧騒の間を縫うようにして祭壇へと向かった。