第2話 森のハーピー族 2
見知らぬ場所で目覚めた亜李須川 弘明は空から降ってきた女の子とぶつかってしまった。
「あいたたた……だっ大丈夫か?」
俺はゆっくりと体を起こした。
「うえーいたいよ~、あっ!ごめんなさいー!」
俺の上に乗っていた女の子はあわてて飛び退いた。その姿の俺は違和感を感じる。腕から先が鳥の翼のようになっているのだ。
「なんだ?人間じゃない?」
背丈は俺より頭二つ分ぐらい小さく、羽と髪は茶色がかったオレンジ色をしている。
やはりここは死後の世界でもしかしてこれが天使というものなのか?天使と思われる女の子は俺のほうをまじまじと見つめている。
「あれあれ、もしかして人間なの?」
「俺はそうだけど」
「ふうーん、へへへ、変な格好~」
女の子は俺の姿を見てケラケラと笑っている。
「なんだよ、そんなに俺おかしいか?」
「うーん、変かなぁーだってつるつるした洋服だし、なんか怖くないもん!」
たしかにこの自然の中でスーツ姿はいささか不釣合いなのかもしれない。しかし怖くないとは、この世界の人間は恐ろしい存在なのか。
「いや、ちょっと待て、この世界には俺以外に人間がいるのか!」
食いかかるようにして質問をした俺に女の子はたじろいだ。
「いるよーだけど怖い人たちだから近づいちゃだめだって」
「そうか……」
やはりここは天国ではないのか?とするとこの少女は一体何者なのだろう。
「失礼だと思うんだけど、君は一体何者なんだ?」
「え?わたし?わたしピオーネ!みんなピヨって呼ぶの!」
俺の質問に対し彼女は満面の笑みで答えた。