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第393話 深緑のささやき、アルラウネ 1 ♥

ロビスオーメンの二人に密林の出口へ案内してもらうことになった(このエピソードには少々性的な内容が含まれます、苦手な方は読まなくてもストーリの進行に大きな影響はありません)

 二人のロビスオーメンに案内され密林脱出の道を進む。エレナーゼのことも考え、今日は早くに休憩をとることにした。二人はなにか食べるものが無いか探してくると言い、どこかへいってしまった。


「エレナーゼ怪我は大丈夫か?」

「ええ、セシリアのおかげでだいぶ怪我は治ったわ。あとはあの二人が肉を持って帰ってくるだけね」


 俺も連続した戦いのせいでどっと疲れがでてきた。できればきちんとした宿屋で休みたいが今しばらくの辛抱だ。地面の葉をどけて腰を下ろす。もうちょっとした虫のことなんて大して気にならない。蒸し暑い中、ぐったりとしながら目を閉じた。


 ここ……ここにきて、だれか……。


 今なにか声が聞こえてきたような気がする。


 ここ……ここよ。


 まただ、だれかが俺を呼んでいるのか?辺りを見渡しても自分の仲間意外の姿は見当たらない。それにみんな楽しそうにおしゃべりをしたり、装備を整えたりしている。


 こっちへ来て……はやく……。


 俺は立ち上がりその声のするほうをたどった。もしかしたらだれかが助けを求めているのかもしれない。女の人の声だ、野生動物か暴漢に襲われているのかもしれない。葉を掻き分けか細い声の主を探す。


「だれですか?どこにいるんですか?」


 ここよ、あともう少し、早く来て!


 だんだんと声が強くなってきている。待て、これはなにかの罠かもしれない。きっとそうだ、突然女の声が聞こえてくるなんて変に決まっている。これもダークエルフの仕業なのか?一旦引き返してみんなを呼んでこよう。だが足は自分の意思とは逆の方向へと動いていく。なぜだ!どうなっている、まるでその声に操られているみたいだ。


 みんなからどんどん遠ざかってゆく。まずいこれは絶対に罠だ。しかし俺の体はそれを拒絶することができない。むしろ声が近くなるほど心が浮き足立って楽しい気分になってくる。


 進んだその先に待っていたのは大きな花に包まれている女の人だった。それでもただの女ではない。皮膚は緑色で植物の一部と言った様子だ。美しい顔にモデルのような体。一目見ただけで(とりこ)になってしまいそうだ。女は俺の姿を見るときれいな唇を吊り上げ笑った。


「やっと来てくれたの、待っていたのよ」


 危ない、本能がそう伝えても体は言うことをきかない。じっと女を見つめたまま動けないのだ。花に鎮座している女はこちらへ来るように手招きをする。


「さあ、こっちへ来て。あなたが必要なの」

「あ、あなたは一体?」


 やっとのことで搾り出したのはその一言だけだった。


「なんだっていいじゃない、さあ服を脱いで。ちょっとあなたの精をもらうだけ」


 まさかとは思ったが、こんなところで脱童貞か?!いやそれはどうでもいい、どうせろくなこと無いのだから。きっと用が済んだあとは食べられてしまうとかそういうのだろう。だってこんなめずらしい花があるなんて知られたら彼女にとって不利益なのだから。と頭ではわかりつつも俺の手はベルトに伸びている。だれでもいい、早く俺がいなくなったことに気づいてくれ!


 すると女は花ごとぐるりと回転させ後ろを向いた。


「ほら早くして、もう待ちくたびれちゃった。以前はよく馬鹿な冒険者が引っかかったんだけど。最近はうわさが広まったのかめっきり来なくなっちゃってね。あぁ体がうずいて仕方が無いのよ」


 甘く芳醇な香りが思考を支配する。俺の手はついにベルトをはずすことに成功してしまった。

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