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第382話 崖っぷちの戦い 2

人面犬と遭遇中、カルベネが崖から突き落とされてしまった

 人面犬たちが頭を低くしてこちらへ歩み寄ってくる。座った目は静かに怒りを(たた)えている。


「ボスは別にお前たちに合う必要は無い。その荷物さえあれば邪魔者を排除した証拠になる」


 他の犬たちはリーダーの一言を待っているようだ。それに対しセシリアはゆっくりと振り返った。


「ふざけないで私たちだって一人失っているのよ。ボスには私から直接伝えておく。あんたの首を持って部下は失敗したってね」


 このままでは本格的な戦いになってしまう。体の大きなフィリアナとニーナ、ローレンにとってこのフィールドは都合が悪い。しかし一番驚いているのはセシリアのことだ。まさかカルベネのためにここまで怒りをあらわにするとは思っていなかった。いつも話すたび嫌な顔をしていたのに。


「待てセシリア、カルベネについてはピヨに見てきてもらおう。きっとあいつのことだ死んではいないよ。ピヨ、崖下の捜索を頼む」


 ピヨは早速、崖へと飛び込んでいった。その間にも敵は迫ってきている。


「やっぱりこいつらを撃退するしかない、私はやる」

「おーい勝手に殺すなよー」


 そのとき崖下からカルベネの声が聞こえてきた。いち早くセシリアが反応する。


「ゲロ女生きてるの?まったく早く上がって来なさいよもう一回突き落としてあげるから」


 憎まれ口を叩きつつなんだか嬉しそうだ。カルベネのことだ、こんなところで死ぬ玉ではない。だがこれが敵の怒りに油を注ぐことになる。とりあえずポリーンとローレンに頼み、カルベネを引き上げることにした。その間俺たちは敵からの妨害を防がなければならない。シャリンが短剣を片手に戦闘体勢に入る。


「ボスへは荷物を持っていけばそれでいい。かかれっ!」


 リーダーの一声を合図に一斉に飛び掛ってきた。連携がとれた動きはまるで本物の犬だ。


「ちょいまち、ほらあんたの仲間もいるよ。突き落とさないでやったんだ感謝しなよ」


 敵の動きがぴたりととまった。先ほど一緒に落ちた人面犬の女も死んではいなかったのだ。彼女は黙ってリーダーのもとへと戻っていった。


「これでおあいこだろ?さあもう通してくれ、これ以上犠牲が出せないのもお互い同じだろ」


 俺は冷静に言葉をかけた。敵のリーダーも一歩下がりなにか考え込んでいる。


「命はとらない、だがボスには合ってもらうぞ」

「まだ言うの?!」


 いまだ引き下がらない人面犬にセシリアが怒りをあらわにする。ここで涼しい顔をしたエレナーゼが口をひらいた。


「いいじゃない会ってあげましょう。このまま吠え続けられても耳が痛くなるばかりだし。ほらさっさと案内したらどう?」


 エレナーゼは小馬鹿にしたように男の横を通り過ぎた。

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