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第362話 爆破へのカウントダウン

日光に当てられヴェロニカが弱ってしまった

 コボルトに囲まれたヴェロニカはついに地面へ引き倒されてしまった。抵抗するも、もがくだけで防戦一方だ。ポリーンだけを回収しようにも下手に動けば命は無い。すると男はまた本をめくりぶつぶつとつぶやき始めた。


「まずい、あいつコボルトごとヴェロニカを吹き飛ばすつもりよ」


 エレナーゼの言葉にぐっと心臓が掴まれたように痛んだ。時間がない、もう特攻するしかないのか。


「ヴェロニカ逃げろ、そいつはこそを爆破しようとしている!」


 だめだ、彼女はついに力尽きて動かなくなってしまった。勝利したコボルトは次にポリーンへと向き直る。


「フィリアナ、ニーナ、カルベネ敵の動きを止めてくれ。シャリン俺たちは救助、セシリアは魔術師の野郎を頼む。エレナーゼは狼を」


 俺の横をセシリアが駆け抜けてゆく。


「言われなくてもそうするわ、あいつの長い耳を切り落としてやる」


 セシリアを先頭に再び戦いが始まった。なんとか詠唱が終わる前に二人を救いださなくては。俺は飛びかかってくるコボルトを足で蹴飛ばした。


「どけっ邪魔だ!ヴェロニカ起きろ、早く逃げるんだ!」


 遠くから声をかけるも気を失っているのか動く様子はない。まとわりついてくる獣人たちを蹴散らす。だが俺の目の前に待っていましたと言わんばかりに剣を手にした戦士が立ちはだかる。


「ヒロアキ!待ってなさいピヨ行くわよ、私を援護して!」

「はーい」


 俺のピンチを見ていたのかニーナがこちらへ向かってきてくれた。だがそれを魔術師の横で待機していた狼たちが阻む。ニーナはすばやくその牙を避けたが一匹が長い尾に噛み付こうとした。そこへピヨが後ろから低空飛行で流れ込んでくる。このまま爆発を当てる気だ。


 しかしその動きをまるで読んでいたかのようにもう一匹がニーナから離れるとピヨの翼に噛み付いた。低く飛んでいた彼女はそのまま地面へと引きずり下ろされてしまう。


「ニーナ俺はいいからピヨを助けろ!」


 俺が叫んだのと同時になんとピヨは地面すれすれまで来ると体を回転させたのだ。まるで小さな竜巻のごとく火の粉を(まと)い狼の牙を振り切った。そしてそのまま再び空へと飛び上がる。それを見ていたニーナは一瞬驚いたようだったがすぐに俺のほうへと向き直った。目の前の剣士へ後ろから襲い掛かる。


 俺は敵の脇をすり抜けヴェロニカの元へと走る。ピヨはというと狼に追いかけられながらエレナーゼと合流した。一杯食わされた青白い狼たちはまんまと誘導されたわけだ。


「あらさすが魔道師さんね。それじゃ二対二で一緒にこいつらを食い止めましょう」

「よーしかかって来い!」


 ピヨの無事を見届け俺は向かいから来るシャリンと目線を合わせた。

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