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第349話 静かな砂浜

漁師たちもやってきたことによりついに撃退に成功した

 俺は手当てをポリーンにまかせ一息ついた。柔らかい砂浜に腰を下ろすと自分がとんでもなく汚れていること気がついた。全身砂まみれでこびりついた海水の嫌な臭いがする。口の中もカラカラで塩水と砂で気持ちが悪い。投げ飛ばされたダメージより今の不快な状態のほうがつらく感じる。


 残った真水で口をゆすぎ、砂をはらう。ポリーンに指名されたニーナは驚きながらも海水を黙って汲んでいる。すると海から数名、カプリコーンの仲間が慌てた様子で上がってきて、倒れている青年を取り囲む。


「おい大丈夫か、なんで一人で行ったんだよ」

「うわーお前、尻尾のところがっつりやられてるじゃないか」


 倒れている青年はよわよわしく首をもたげた。


「ははは、どうだ見たか俺の雄姿、こ、これで俺たちだってやれるってわかっただろ」

「だからってこんな危険なまね……」


 どうやら以前出会ったカプリコーンの女の子が言っていたことは本当のようだ。彼らは少なからずイクチオケンタウロスに対し劣等感を抱いているのだろう。俺からしたらどちらも同じように見えるがきっとそうではないのだ。とりあえず仲間が来たので彼は無事に帰れるだろう。


 カプリコーンたちは手当てしてくれたポリーンに礼を言うと青年を安全な場所へと運んでいった。俺は助けてくれた水和に声をかけた。


「ありがとうな、どうしてわかったんだ」

「ふふ、海の下では怪物のうわさでもちきりで。もしやと思って来てみたんです」


 そりゃあれだけでかいのが暴れていては気が気ではないだろう。


「絶極大地はいかがでしたか?」

「ああ、まあいろいろあってな。もと来た道を戻ることにしたんだ。密林の反対へ抜けようと思って」

「そうですか、ごめんなさい僕になにか出来ることがあればよかったのですが」


 俺は彼に十分だと伝え、今日はこの砂浜にて休むことにした。水和は取ってきた魚を分けてくれたりと親切にしてくれる。


「そういえばなんであんな化け物が来たんだ?」

「それは、推測ですがきっと他のやつに縄張りを追われたんでしょう。ここの辺りに来たときにすでに傷ついていたようです。本来は自分の縄張りの中だけで生きている生き物ですから」


 そういえば体にいくつもの傷があった。てっきり護衛に追われている最中に攻撃されたものだと思っていたが。あんな強いやつでも負けることがあるなんてな。


 俺はふと料理をしているポリーンの姿が目に入った。せっせと魚をさばいている。出会ったころの彼女とはまるで別人だ。もうびくびくとおびえ足手まといになると心配していた彼女ではない。今やニーナにでさえ命令してしまうのだ。案外、怒らせたら一番怖いかもしれない。

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