第337話 終わらない冒険 1
男の話によりこの世界にはもう一つ別の大陸があることを知った
「そうですね、みんな今までありがとう。ここまで一緒に来てくれて。俺はここで自分の帰る方法を探すよ。だからみんなは安全な道でゆっくり戻って欲しい」
俺の言葉にみんな顔を見合わせる。まずシャリンが口を開いた。
「うむ……、そうだな。これ以上は私たちの手には負えない残念だが」
それがいいとユニコーンの男が相槌を打つ。
「君たちは勇敢だ。だが若くしかも女の子ばかりだ。今まで全員が無事なことが奇跡だよ。こんなところで人生を無駄にしてはならない、まだ楽しいことがたくさんある。この先、敵は君たちを女の子だからと手加減してはくれないだろう」
彼の言うとおりだ、それにみんなには家族がいる。きっと心配もしているだろう。もう一つの世界のことはその世界の人たちに任せておくべきだ。俺たちが首を突っ込むことではない。
「確かにそうですね、わたくしたちはよくやりました。でもまだまだ未熟、今まではなんとか助けがあってやってこれましたがいれからは保障もありません」
「はぁーそうねぇ。あたしも両親が心配しているだろうから帰ったほうがいいのかも」
フィリアナとニーナもそれに賛同する。ピヨもこの旅でだいぶ成長した。もう村に戻っても一人前としてやっていけるだろう。エレナーゼもうなずく。
「私も楽しい冒険ができたわ。いろいろ学ぶこともあったし。しばらくは女王も楽しんでもらえるんじゃないかしら」
「ええ、私ももうあのゲロ女の面倒見なくてすむし」
セシリアは遅れてやって来たカルベネのほうに目を向けた。
「ヴェロニカもありがとうな、すごく助かったよ。あなたがいなかったら今ごろ俺たち死んでたかもなー」
「そうだな、まあよかったんじゃねえの。私もここに残ろうかな、住みやすそうだし」
近くに知り合いがいるのは良い。なにがともあれみんな無事でお別れが言えてよかった。一時は死に別れかと思ったがきちんと全員そろえた。今まで助けてくれた人全員に感謝しなくてはな。
「それじゃあ、とりあえずみんなの無事に乾杯でも……」
「私はここで終わりたくないんです!!」
突然の声にみんな一斉にポリーンのほうを見た。
「わ、私は、このチームでも一番役立たずでいつも足ばっかりひっぱってて。でも諦めたくない!女の子だからって弱いからって、冒険を諦めたくない! 今まで私はずっと自分なんてどうでもいいと思っていた。でも初めて自分が、なにかしてあげたいってそう思えたの」
「そう言っても……ヴェロニカもここまでだし」
ポリーンはくるりと体の向きを変えヴェロニカに向き合った。
「お願いします、まだ一緒に旅をしてください。私のわがままだから、もし嫌ならそれでいいです。みなさんも、でもこれが私の意見です!」
頭を下げる彼女にみんなため息をもらした。ヴェロニカもやれやれと言った様子だ。
「そうかよ、私は別にいいけど。どうせ暇だし、けどお前らはどうする」
「ふふふ、みんなが言いにくかったことポリーンちゃんに言われてしまいましたね」
フィリアナを始めニーナも笑い声を上げる。
「アハハハ、そりゃそうよね。あたしも言いたかったけど遠慮しちゃった。あんたも随分、度胸がでてきたよね。いいわよ、あたしは」
実は俺も本当は心残りがあった。お互いがお互いに気を使い言えなかったのだ。別の世界があると言われたなら見たいに決まっている。この雰囲気がなんだかおかしくなってみんなで笑いあった。