第32話 町の異変 3
町の地下にオークが潜んでいることを知った三人
俺たちはオークが町の地下に巣食っていたことを領主に報告した。
「ふむ、なるほどな。それで数はどれほどいたんだ?それと行方不明の町民、なんの関係がある」
「そ、それは、すいませんそこまではまだ調査が進んでいません」
フィリアナの話を聞き、領主は引き続き俺たちに調査を続けることを命じた。俺はその命令に従う代わりに捕らえられている仲間の解放を申し出た。もちろん町中には出さない約束でだ。
ピヨは一時的だが外に出られたのでとてもうれしそうだ。ニーナは中庭で体を伸ばしている。そこへフィリアナがやってきた。
「まさか本当だったなんて、失礼しました」
「いや、こちらこそ危険なことにつき合わせてしまってすまない」
俺はフィリアナにピヨとニーナを紹介した。ピヨの明るさも手伝い始めて会ったときよりいくらか表情が柔和になった。
俺たちが談笑をしているところへ助け舟を出してくれた小太りの側近が近づいてきた。
「やあ、たのしそうだね」
「あっあのときの、おかげで助かりました」
男は笑いながらフィリアナに近づいていく。
「ところでフィリアナ、まだ腹は決まっていないのい?」
「いえ……ごめんなさい、わたくしはまだ訓練に力を入れたいので」
俺にはなんの話かはわからないが彼女が乗り気ではないのはわかる。
すると男は彼女の馬体の背をなで始めた。そしてそのまま手を腰に滑らせ、抱きかかえるようにして体を密着させた。フィリアナは言葉を発しはしないが表情は暗い。
男は俺たちに向けた笑顔とは違い、いやらしい薄ら笑いを浮かべている。そろそろ止めたほうがよいのではないか、そう思ったときピヨが男とフィリアナの間に割って入った。