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第328話 地と風の魔術師、デリアとラボナ 7

セシリアとローレンの協力によりデリアを打ち破った

 デリアは縛られた糸の中でもがいている。


「くーっ、ちょっとなによこれ!ふざけんじゃないよ、この蜘蛛女!」


 悔しそうにする敵をローレンは薄笑いを浮かべ脚でつついた。


「ん、んふふ、残念ねぇ。剣に気を取られてるからよぉ」


 なるほど、あの時セシリアが怪我をしていなかったのはローレンに助けられたからだ。そして剣についている見えない糸も彼女のものだ。アラクネの糸はやはりすごい。こうしている今も敵は強靭な糸の中で拘束されている。


「残るは一匹ね、エレナーゼは大丈夫かしら」


 セシリアの言葉に振り返るとエレナーゼとヴェロニカ、二人で対処していた。敵は岩の殻に篭り防戦一方だ。しかし二人ががりでもその防壁を打ち破れずにいる。


「二人とも大丈夫か?」

「あ゛あ゛?大丈夫に見えるか?!ハア、ちくしょうずっと殻の中に閉じこもってやがる。近くに行って破壊できりゃいいが恐らく近づいたらあの岩を飛ばしてくる気だ」


 ヴェロニカは相当ダメージを受けているようで息を荒げている。これはまずい、あの岩の塊を破壊できるほど力のあるメンバーがいない。フィリアナならなんとか蹴りを入れられたかもしれないが。


「おい、お前のもう一人の姉妹は捕まえたぞ!降伏しろ!」


 俺は岩に向かって叫んでみたが返事は無い。きっと耳に届いているはずだ。すると後ろのほうで地響きが聞こえてきた。ヴェロニカが岩の塊を睨み付ける。


「このガキ、この()に及んで悪あがきをするか!」


 岩のシェルターの中で最後の抵抗を見せている。どうせダメなら一人でも多く殺そうとしているのだろう。だが俺の予想に反し、岩の中から笑い声が聞こえてきた。


「ふふふ、それで勝ったつもり?私はデリアなんかよりよっぽど強いわよ。ただ隠れているだけだと思った?」


 ラボナを覆っていた岩が形を変え、彼女を守る壁となった。


「あなたたちに私の岩を押し返すだけの力が残っているかしら?」


 そう言うと壁の一部をこちらへ飛ばしてきた。大きな石がものすごい勢いで迫ってくる。あまりの迫力に全身が硬直し、行動を遅らせる。ヴェロニカははじき返せないと思ったのか横に飛び退いたが、間に合わずわき腹に直撃してしまった。


「ぐっ……!!」


 そのまま石の威力に吹き飛ばされ地面を転がった。苦しそうに腹を押さえ立ち上がろうとする。


「ほらほらまだ石は沢山あるわよ。それとももっと大きいのがいい?早く私を止めないと……お友達が潰されちゃうよー」


 ケラケラと笑いながらフィリアナが取り残された岩を動かす。それを見てエレナーゼは歯を食いしばる。


「なんて卑怯なやつ、今動ける私とシャリンで行くしかないわね」

「いーやいや、ちょいと待ってよ私を先に行かせてくれ。隙を作るからあんたはそこに一撃入れて欲しい」


 なぜかここでカルベネが出てきた。


「おいまさかまた突っ込む気じゃないだろうな」

「ははは、その通りだ兄さん。ほんじゃピヨ、行くぞ覚悟はいいか?」


 飛ばされたピヨは無事だったようだ。名前を呼ばれた彼女はハイ!と大きな声で返事をした。

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