第327話 地と風の魔術師、デリアとラボナ 6
デリアとラボナの見分け方を見つけた亜李須川
俺とシャリンは後ろでそのすさまじい魔法の威力を見せ付けられた。俺たちが思っていた以上に風の魔法は強い。ドサッという音と共にニーナの体が落ちてくる。あんなものに巻き込まれてはひとたまりも無い。地面に伏したニーナはボロボロになり動かなくなってしまった。
「ニーナ大丈夫か?!」
「うっ、ケホッケホッ、あいつやってくれるじやないの、全身がバラバラになったかと思ったわ」
起き上がろうとしているが腕が小刻みに震えている。
「ニーナさがっていろ次は私が行く」
シャリンは短剣を構え地を蹴った。それをニーナが止める。
「だめよ体の軽いあんたじゃ本当にバラバラにされちゃう」
「じゃあどうしろと言うんだ、私が行かなければ」
「いえ、私に行かせて」
そこへ現れたのは先ほど吹き飛ばされたはずのセシリアだ。同じく攻撃を食らったはずなのにニーナと違ってきれいなままだ。セシリアは細身の剣を手にして相手に近づいてゆく。
「へぇー今のを見ててまだやる気なの?じゃあ今度は手加減なし、手足をもぎ取ってあげる」
セシリアの周りに風が吹き始めたと思った次の瞬間には渦を巻いた風に空間が押しつぶされていた。彼女はすばやくそこから脱出するとなんと持っていた剣を相手に向かって投げた。大切にしていたはずの剣なのに、飛び道具として使用してしまった。それには敵も驚いたのか体を硬直させ目を見開く。
だが剣は魔術師デリアの頬をかすめ後ろへと飛んでいった。
「はっはは、なーんだ秘策ってそれ?アハハハ、残念あなたの剣飛んで行っちゃったわよ。拾いに行けば?」
しかし飛んでいったはずの剣はまるで逆再生のように戻ってきた。柄が後頭部に直撃する。
「いたっ!!なにすんのよ?!」
「余所見をしているからだ、ほら次いくぞ」
セシリアは笑みを浮かべると横に走り出しそこから斜めに剣を投げた。
「馬鹿、同じ手は通用しないんだよ!」
飛んでいった剣は突風で押し戻されてしまった。戻された剣はセシリアの回りを一周し、反対側から敵へ飛んでゆく。まるで糸で操られているかのような動きだ。これにはデリアも困惑したが、横から飛んできた刃をセシリアのほうへ風でつき返した。勢いを失った剣は主の元へ戻っていく。
「なるほど糸で操ってるわけ、考えたわね。だったらそれごと吹き飛ばしてやる、自分の剣で切り刻まれるといいわ」
脅しに怯むことなくセシリアは再び剣を投げた。だが今度は風により刃を翻し彼女の心臓を狙う。
「自分の剣で貫かれて死になさい!」
そう高笑いした時、デリアの頭上から何か大きいものが降ってきた。黒い体に黒いローブ、ローレンだ。
「ぎゃっなに?なんなの、ちょっと離しなさいよ!」
手足をばたつかせるも一瞬にして頑丈な糸で巻き上げられてしまった。