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第325話 地と風の魔術師、デリアとラボナ 4

岩の隙間にフィリアナが挟まり身動きが取れなくなってしまった

 外の様子を探ろうと聞き耳を立てる。炎が爆発する音と地面が度々揺れる以外情報がない。俺はこれ以上壁が動かないよう願った。きっとあの魔道師のどちらかがやっているのだろう。しかし外にいる仲間たちはどちらがそうなのか見切れていないのだ。だから動かす隙を与えてしまっている。


 再び地面が動き出した。カルベネはフィリアナの下に入り込み体を支える。


「ぐーっくそっ、このままじゃ押しつぶされちまうよー。兄さんなにか良い方法はないの?」

「そんなこと言われたってどうなってるのか見えてないんだからわからないよ」


 一瞬でも外の様子が見られれば……そうだピヨに飛び上がって見てもらおう。


「ピヨ、上から外の様子が見えないか?」

「やってみる、待ってて」


 ピヨは元気良く亀裂の上へと飛び上がった。


「えーっとね……」


 そう言いかけたとき突風が突如、彼女を吹き飛ばした。まるでピヨが出てくるのを待っていたみたいだ。


「ピヨちゃん!」


 フィリアナの声も虚しくピヨの姿が見えなくなった。


「ははあ、これで私たちは情報を得られなくなったわけだ。外のやつらが倒してくれるのを大人しく待ってるしかなさそうだな」


 カルベネは下で苦笑いを浮かべている。するとドンという音と共に外からヴェロニカの苦しそうなうめき声が聞こえた。それと同時に地面が再び動き出す。


「ううっ、カルベネさんヒロさん私を置いて外へ行って下さい。このままでは(らち)があきません」


 そう言われても今行ったところでなにもできないのだ。なにか有効な作戦を考えなくては。一番大切なのは属性の相性だろう。エレナーゼは火は土に弱いと言っていた。なら何なら土に強いのだ?水か?でもそんな魔法だれもできない。それなら風に火は効くのだろうか?突風に押し返されてしまわないだろうか?


 頭の中が疑問で一杯だ。もし間違った選択をしたならば逆に敵に隙を与えてしまう。どうしよう、下手なことを言わず戦闘に慣れているみんなに任せたほうがいいのかもしれない。でもせめてどちらがどの属性を使うのか見極めなくてはならない。容姿も髪型も服装もまったくそっくりな双子、そのせいできっとみんなも困惑しているに違いない。そしてこれが彼女たちの戦法なのだ。


 外からは戦いの音が聞こえてくる。あまり状況がよくないことだけはわかる。こうしている間にもどんどん地面は迫ってきている。なにか使える情報はないか、俺は必死に記憶を呼び起こした。


 彼女たちを見極めるポイント……そういえば初めて出会って自己紹介をしていたとき杖を左右片手ずつ持っていたような気がする。ただの気まぐれかもしれない、しかしもし利き腕が違うならこれでわかる。それには自分で直接確かめなくてはならない。一か八か、俺は手を放し壁の外へ脱出することにした。

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