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第324話 地と風の魔術師、デリアとラボナ 3

地と風、二つの属性に翻弄された一行

 勢い良く走り出したカルベネは風の壁へと突進して行った。


「ちょっあんた正気?!仕方ないわね、後に続くよ!」


 カルベネを先頭にニーナとシャリンが続く。俺も一緒に行こうとした時、突然地面が揺れ始めた。轟音とともに足元が割れ崩れてゆく。なんと地面にひびが入りV字型に持ち上がり始めた。どんどん足が亀裂に吸いこまれてしまう。走り出したカルベネは九十度体の向きを変えるとこちらへ戻ってきた。


 崩れ行く地面を器用に渡るとピヨとポリーンを脇に抱えた。だが体が重くなったのか俺と共に逃げ遅れた。地面はまるで二枚の鉄板のようにそそり立ち、その間に挟みこまれてしまった。


「アリスガワ、フィリアナ、大丈夫か?!」


 外からシャリンの声が聞こえる。


「大丈夫だ、今のところ命は助かってる」


 俺は大きな声で返した。どうやらニーナとヴェロニカ、セシリア、エレナーゼは逃げられたようだ。壁の内側に取り残されたのは俺とカルベネそれからフィリアナとローレンだ。ピヨとポリーンはカルベネに抱えられている。


「はははやってくれるじゃないの、兄さん大丈夫?鳥っ子は飛んで出られるだろ。私は虫っ子を連れて行く。兄さんと蜘蛛娘は一人で出てこれるだろ?」


 俺はカルベネの言葉にうなずいた。ちょうど横に人が一人通れるほどの隙間が空いている。地面に挟まれているもののまだ余裕がある。


「ローレン、フィリアナ出られるか?」

「え、ええ、なんとかのぼってみるわ」


 ローレンからは答えが返ってきたがフィリアナの声は聞こえない。


「フィリアナ?どうかした?」

「ええと、すいません脚が挟まってしまって……みなさんだけ先に行って下さい」


 彼女の足元を見ると前脚が二本とも地面の亀裂に挟み込まれてしまっている。踏ん張ろうにもできないのだ。その時、再び地面が動き出した。隆起した地面は(せば)まりこのまま俺たちを潰すつもりなのだろう。フィリアナが苦悶の表情を浮かべる。


「フィリアナさん、大丈夫ですか?」


 ポリーンがカルベネの手を離れフィリアナの脚を持ち上げる。自分で踏ん張ることのできない彼女はただ巻き込まれていくしかない。


「ぐっ……大丈夫、ありがとうポリーンちゃん」


 このままでは脚が折れてしまう。俺も横から一緒に支えた。


「ローレン先に出てくれ、このままじゃ出られなくなってしまう」

「わ、わかったわ」


 ローレンは体を隙間に滑り込ませ壁の外へ出て行った。外がどうなっているかわからないが早く解決策を見つけなくてはこのままぺしゃんこにされてしまう。

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